オペラを楽しむのにディスクを聴くというのがごく普通だった時代、〈レコードの芸術〉を体現するような名盤が多く生み出された。生の舞台はもちろんのこと、映像ソフトも今やいろいろある。そんな中で往年のオペラ名盤をめぐる状況はどうなっていくのだろう。この「ボエーム」のように、通常の全曲CDに加えて1枚のブルーレイ・オーディオでも全容が愉しめる構成で、パヴァロッティの主要オペラ録音がリイシューされている。全盛期のパヴァロッティやフレーニの千両役者ぶり、第1幕での男声たちの見事な競演、そしてカラヤンの音響美に聴き惚れる。高音質を切り口としたリイシューがオペラ録音の沃野でますます拡大されんことを。