2014年にマジー・スターを凍結したホープ・サンドヴァル。今年に入ってマッシヴ・アタックのシングル“The Spoils”に客演するなど、少しずつ歌手活動を活発化させてきた彼女が、7年ぶりにコルム・オコーサクマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)とのユニットによる新作を発表した。これまでの静謐なゴシック・フォーク路線を踏襲しつつ、輪郭が鮮明で動的なナンバーが増えており、曲によってはノイジーな不協和音やパーカシッヴなギミックも施して、起伏に富んだ展開を繰り広げている。とりわけ耽美に濡れそぼるカート・ヴァイルとのデュエット曲は、大きなアクセントだろう。ふと気付いたのだが、ホープ嬢のデカダンな歌声には独特のタイム感があり、周囲の音がストップ・モーションの如く時を止め、そのなかで艶然と言葉を紡いでいる……とでも表現したい趣だ。そうした奇妙な違和が、聴き手を次第にトワイライト・サイケデリアの深淵へと引きずり込んでいくように思えてならない。