自主レーベルからのリリースを着実に重ねる彼らは、極端にミニマルなアンサンブルで〈長い一日〉を描写した本作において、さりげなく孤高のスタイルを獲得。このいつまでも浸っていたい気怠さは、ちょっと他では味わえない。 *土田
ブームの狂騒をくぐり抜けて独自の道を歩みはじめた3枚目のオリジナル作は、G.RINAから坂本真綾まで女性作家陣による等身大のリリシズムと、薫り高いポップネスに富んだ、大人っぽい良曲集に。結構なお点前でございました。 *出嶌
前年末に配信されていたシリーズ第2章が、まさかのタイミングでCD化されたもの。プロテスト・ソングの“Baltimore”を筆頭に、孤高性よりも時代性の強い人懐っこいソウル/ファンク志向はここ数作でも最高、なんだが。 *出嶌
Avec AvecとのSugar's Campaignのメジャー入りを挿み、ソロではマシューデヴィッドのレーベルより世界デビュー。過渡期に位置する作品のようだが、テクノ~アンビエント、ジャズが溶解する音世界はやはり数段先のものだった。 *土田
グライム勢が晴れ舞台で光を浴びた2016年。その勢いを駆ったのは、前年の“Shutdown”に始まり、アンセム“Man”を極みにマーキュリー受賞に至った本作だろう。北米で認められればいいのか……という気分にもなりつつ。 *出嶌
KREVAのミュージカル出演なども経験した2016年、舞台をメジャーに移しても己の道を行く姿勢と進化への意気は変わらず。誰にも捲られんアプローチのカッコ良さに改めて感嘆させられた。“Bob Dylan”の収録も予言的? *出嶌
曲中で夫の不貞を糾弾するなどのフックもありつつ、黒人社会の一員、あるいは女性としての個人のドラマをエモーショナルなメッセージ性に転じた一枚。インディーR&B的な方向にも接近したりと、サウンドは多方面への目配せも。 *土田
ソカのビートでカリブな風を吹かせ、ブランディ使いなどで90s半ばのR&Bムードも採り入れた本作が大ヒット。主宰レーベルのOVOも絶好調で、グライム人気にも少しだけ加担し、流行の中心にこの男ありって感じでした。 *山西
精力的なリミックス仕事で人脈を広げ、レイクォンやベックの参加も実現させたこの2作目でオーストラリア国外でもブレイク。浮遊感も重量感も備えた高性能のフューチャー・ベースを作る手腕は、DJスネイク作品でも発揮された。 *山西
往年の名オケにノーギミックで温かい歌を乗せた純レゲエ盤。時代に関係なく愛聴できそうな一枚だけど、ジャマイカでも越境感覚やフワフワした音像が重宝されているイマだからこそ、より大きな感動を与えたのは間違いなし。 *山西
〈ラスボス〉感への期待も負うなかで、いつもながらのマイペースで毒とユーモアを投げつけてきた余裕の9作目。いつにない熱気で積み重ねを物語る“あの頃じゃねえ”は、長年のリスナーへ花束を差し出すような名曲! *出嶌
グランジ由来の轟音ギターが時々交わる以外は、オーセンティックな作りのロック盤。だけど、椎名林檎の初作にも似た引っ掛かりのある歌メロがハンパなく良くて、シンプルに曲の力で人々の心を掴んでいく様子が痛快でした。 *山西
メロコア~ポップ・パンク景気が復活するなか、日本では〈インディー・パンク〉とでも呼ぶべきよりオルタナティヴな感覚の新世代が各地から登場。リヴァービー&ノイジーな音像に封じられた青い衝動は、何よりも眩しかった。 *土田
サイモン&ガーファンクル時代からの盟友ロイ・ハリーと組んだ最新作は、現代音楽家のハリー・バーチを影響源とした実験的な一枚に。御大の歌がクラップ!クラップ!のエキゾなビート上で踊る様など、誰が想像できただろうか!? *土田