リスナーとしての3人の2016年は?
音楽好きにも程があるSuchmosの面々。今回のインタヴューに登場した3人に〈リスナーとしての2016年〉を訊ねてみると……まずはYONCEから。「ザ・ミュージックは、夏頃にバンド内でセンセーショナルな衝撃を受けたんですよね。彼らのファースト・アルバムを聴いたら、サイケ、トランス、ロック……もう全部やってるな、まいったな、みたいな(笑)。あと、僕的にはジョーイ・ドーシックっていうシンガー・ソングライターも良かった。歌の温度というか、熱量ですごいなと思える人を久々に見つけたなと。ジョン・レノンみたいだなと思って。R&Bとかソウルの影響も受けてると思うんですけど、俺の好きなシンガー・ランキングに現代の人で久々に入ってきたって感じですね」(YONCE)。
続いて、「2016年は自分のルーツを結び付ける旅に出てたっていう感じかな」と語るのはOK。
「自分は横浜人だから、ザ・ゴールデン・カップスだったりの横浜のルーツに触れてみたり。あとはレゲエとかブルース、ヒップホップの……なんて言うんですかね? 強要されている感じを受けない雰囲気、っていうんですか? 国境がなくて、誰にでも楽しめる、メッセージはあるんだけど、なんとなくの日常にも全然マッチするみたいな……それってなぜなんだろうな?ってことをすごい考えてて。Suchmosがそういうふうになりたいからなんですけど。なので、音楽ももちろんですけど、いろんな国のカルチャーについてひたすら調べてました(笑)」(OK)。
そして最後はTAIHEI。
「俺は2016年、自分が担当してる鍵盤楽器の歴史の深さに圧倒されてました。Suchmosのキーボーディストとして新しいアプローチをもっとメンバーに提示したいっていう欲から、そのヒントを求めて、まず、ひたすらジャズを聴いたんですよ。ビル・エヴァンスと、エロル・ガーナーっていうピアニストに絞って。で、そんななかで出たエヴァンスの幻の音源が最高でした。あと、坂本龍一さんの周辺はソロもYMOも聴いたし、久石譲さんも聴いたし……そういう名だたる鍵盤奏者を調べていくと、だいたい共通して名が挙がるのがシューベルトとバッハとブラームスで、〈なんでだ?〉って思って聴いてみて、さっぱりわからず、みたいなやつをずーっといまもやってますね」(TAIHEI)。
で、最近はシンセサイザーの歴史も調べてて、音色のヒントになる人を探して行き着いたのはシンセの人じゃなくて、DJなんですよね。OKに教えてもらったプリティ・ライツとか」(TAIHEI)。
「機械に生感を足すっていうスタイルがおもしろいよね」(OK)。
「そういう探究を個々がやってたんじゃないかな。で、〈これSuchmosに使えるわ〉って自分に落とし込めたら、みんなと共有するっていう」(TAIHEI)。