2017年をハードに盛り上げる女たち

 かつて〈嬢メタル〉と括られることも多かった女性バンドの数々だが、新作で音楽性を拡充させたCYNTIAからもわかるように、個々のバンドは一面的なイメージに囚われることなく進化を続けている。ここではその代表格たちの近作を紹介しておこう。2017年もシーンを激しく艶やかに賑わせるのは、彼女たちとそこに続く新たな顔ぶれに違いない! *大槻亜衣

 

Aldious Female Warrior/ノスタルジック/fragile Radiant A/Village Again(2016)

CYNTIAの新作にも参加したトキを擁するシーンの立役者。最新作にあたるこのトリプルA面シングルは、アースシェイカーのSHARA制作によるスピード・チューン、大ぶりなバラードまで、テクニカルな演奏陣と持ち前の歌謡性を融合して聴かせる。

 

Mary's Blood FATE ビクター(2016)

雄々しい歌唱と骨太な演奏でメタルの本道を往く4人のメジャー3作目。スラッシーな冒頭からメロディアスなソロを交えた展開で魅了し、ルーク篁五十嵐美貴SHOW-YA)の客演、BABYMETALで知られるゆよゆっぺの起用など、柔軟にしてブレのない作りが爽快だ。

 

Disquali right NOW Flyingcat(2016)

2015年8月に結成されたアップカマー。とはいえ各メンバーはHR/HMシーンで実績を積んできた面々だそうで、このミニ・アルバムでも劇的な展開の張り巡らされたナンバーをアグレッシヴに取り揃えている。繊細なソングライティングのセンスも特徴的。

 

BAND-MAID Just Bring It CROWN STONES(2017)

ハードかつエモーショナルなガチの音楽性をメイド服に包んで披露するという独自の世界観を引っ提げ、いよいよ海外でも大ウケしている5人組(8か国を巡る世界ツアーも敢行!)。新年に届くこのメジャー初アルバムも間口の広さから本質に引きずり込む充実作だ。

 

TEARS OF TRAGEDY STATICE OYSTER BROTHERS(2016)

いわゆる女性バンドではないが……この新作が出たばかりなので紹介。紅一点のHARUKAをフロントに擁するメロスピ系バンドの3作目で、重音派を唸らせる攻めの曲から直球のJ-Popとして機能するものまで、伸びやかな歌唱と技巧のマッチングが素晴らしい。