伝記映画が話題のチェットだが、未発表のライヴ音源は発売される度に不透明だったチェットの個人史の隙間を埋めてくれる。本作は寡作ながらも英Spotliteにリーダー作を持つジョン・ホーラー・トリオとの共演作品。会場のクラブ・キャンティーンのMCには期待と尊敬が溢れ、演奏に波のある時期としては好調な演奏が収録された。薬禍はあったにしろ、それと共に生きるという欧州の生活が見事に彼を蘇らせた。この時期はむしろ、トランペットが輝いていた時期で、エンリコ・ビエラヌンツィとの奇跡の演奏に近づくレベルでよく鳴っている。ホーラーもチェット来訪に刺激され好調だ。