サティの音楽を奏でつづけてきたKy(キィ)の通算六枚目のアルバム。Sax+Cl+Vo&Ud+Gt+Voという希有な2人が作り出す響きのソノリティ。サクソフォンというのはふしぎな楽器である。19世紀に作られた新しい楽器なのに中性的な響きもするし、都会的で洗練されたそぶりも見せる。そこが諧謔的なサティにぴったりと寄り添う。撥弦楽器ウードもフレットがないが故の微分音が、中東というルーツを超えて新しい響きを模索する。サティの楽譜には小説線や拍子記号がないものが多いが、そこから時間軸を超えた即興性をも産み出す。個人的にはアクサクマブールなんかを思い出す部分も。