鬼才クルレンツィスによるダ・ポンテ3部作ついに完結。手兵ムジカエテルナと紡ぎ出すアンサンブルは、粒の揃った実力派の歌手陣と共にクオリティの高さが光ります。『フィガロの結婚』『コジ・ファン・トゥッテ』に比べると全編どうしても重さを感じてしまうオペラですが、ここでは改めて〈この曲ってこんなに面白いんだ!〉と気づかされるような所が随所にあります。マエストロ自身 「この曲にはバロック的な音が必要」と語っていますが、例えば有名な二重唱“手を取り合って”ではまるで民族楽器のような素朴な響きをオーケストラから導き出し、何とも言えない愛らしさを表現して新鮮。〈今〉を生きるモーツァルトがここで聴けます。