かつてはアロー・ブラックメイヤー・ホーソーンを輩出し、近年のノー・ウォーリーズに至るまで歌モノ作品を大きな柱としているストーンズ・スロウ。そんな老舗と新たに契約し、先達と同じ道を辿りそうなのが、このガブリエル・ガルソン・モンターノだ。とはいえ、2014年にスタイルズ・アポン・スタイルズから出したデビューEP『Bishoune: Alma Del Huila』(の拡張版)がSWEET SOULから出ていた日本では、すでに彼の音に親しんでいる人も多いだろう。コロンビアとフランスの血を引いてNYで生まれ育った彼は、ヴァイオリンを入口に多くの楽器を習得して、少年時代から音楽的な土台を築いていた人。今作も基本の路線は、官能的な歌声を軸にすべての演奏を担当し、スライディアンジェロの影響も顕著な作法を見せたデビュー作と変わらず。ジョン・レノンっぽい歌い口の“Crawl”など、曲ごとにOVO的なアンビエンスやアレン・ストーン風のサイケ感も加味して人懐っこく迫る。ポテンシャルの奥深さを窺わせる注目作。