数年前には、ぶっちゃけ出オチのような印象を抱いていた人も多いと思うが……もう恐れ入りました!というしかない。傑作『ジパング』から昨年のEP『UMA』へとステップアップする過程でどんどん時代を巻き込んできた水曜日のカンパネラが、堂々のメジャー初のフル・アルバムを完成だ。先行カットの“アラジン”でスタート・サムシングし、ディスコ・ベースとラップの絡みが快い“一休さん”、フューチャー・ガラージの“オニャンコポン”、“Genghis Khan”とは関係なくトロピカル・ハウス風の“チンギス・ハン”、クワイトを採り入れた“チャップリン”などなど、毎度のパスティーシュを適度に散りばめた格好いいサウンドとコムアイの振る舞いで珍妙な中毒性を発生させる直球の変化球は変わらず。で、いわゆる〈岩戸隠れ〉で知られる芸能の女神の名を冠した“アメノウズメ”を結びに置いているのは……と、そんな野暮も書かんとあかん時代の暗闇を晴らすべく、水カンは踊り続ける。いつになくマジなジャケがそう言っている。