またもヴォリューム満点な2枚同時リリース!

 カリフォルニアはヴァレホを拠点に、特異なフロウで揺るぎない独創性を発揮し続けて30年以上。今年で五十路に突入するE-40だが、並ぶ者のない個性にラヴコールが相次いでいる様子は、ビッグ・ショーンのNo.1ヒット“I Don't Fuck With You”(2014年)をはじめ、タイ・ダラー・サイン“Saved”(2015年)やスクールボーイQ“Dope Dealer”(2016年)、ヨー・ゴッティ“Law” (2016年)など現行シーンを代表する後進とのコラボでも証明済みだろう。

 もちろん自身の作品も快調で、2010年代に入ってからは毎回アルバムを 2~3枚ずつ同時リリース。銭食い豚のポリシーとしてフリーのミックステープは出さないつもりなのか、すべてセルのフィジカル盤で出したアルバムはこの5 年ほどで10枚以上を数える。今回紹介するのは、通算23/24枚目となる『The D-Boy Diary: Book 1』『The D-Boy Diary: Book 2』だ。

E-40 The D-Boy Diary: Book 1 Heavy On The Grind(2016)

E-40 The D-Boy Diary: Book 2 Heavy On The Grind(2016)

 早くから目をかけていたG・イージーをはじめ、K・キャンプグッチ・メインキッド・インクリル・Bなど多方面から大物を招き、もちろん愛息ドゥループEターフ・トーク、期待のネフ・ザ・ファラオら配下の面々も参加。そんなコネクションを見せつけるかのようで結局は己の変態ラップが蹂躙しまくる計42曲(!)である。ハイフィー時代から何周もしながら独自進化を続けるベイ・スラップを堪能して、豚のように腹一杯になっていただきたい。