INTERVIEW

時代を越える良質ポップス送り出すSalley、20代女性のリアルな本音を軽やかで柔らかなサウンドに託した新作『Clear』を語る

時代を越える良質ポップス送り出すSalley、20代女性のリアルな本音を軽やかで柔らかなサウンドに託した新作『Clear』を語る

迷いの季節を抜けてクリアに見えたものは、音楽を続ける理由。2人らしくも新しい音、リアルな言葉を手にした歌はいま、時代を超える!

 良い音楽はゆっくりと、しかし確実に浸透してゆく。デビュー3年目を迎えた2016年のSalleyは、毎回ゲストを招く自主企画シリーズ〈Salley Gardens~柳の庭の音楽会~〉を積み重ね、ライヴ力を強化。そこで得た成果を楽曲制作へ注ぎ込み、秋には満を持しての配信シングル3連発。繊細なうららの歌に芯の強さが、叙情的な上口浩平のギターに逞しさがプラスされ、〈Salleyミュージック〉は新しいフェイズへと進化しつつある。

 「7月のワンマン・ライヴでは、誰が見てもあきらかなぐらい、自分が成長していたんですね。〈Salley Gardens~柳の庭の音楽会~〉をやったおかげで、お客さんを引っ張っていく力とか、ライヴの構成も含めて、すごく成長できた実感がありました」(うらら)。

 「ワンマン・ライヴが終わった時に、〈ライヴでこういう曲をやったら盛り上がりそうだな〉ということもすごく考えたので。今回のアルバムは、そういう曲を意識的に作った感じもありますね」(上口)。

Salley Clear ビクター(2017)

 1年5か月ぶりとなるサード・アルバムのタイトルは『Clear』。デビュー当初から追い求めてきた、アイリッシュ・トラッドビートルズをはじめとするエヴァーグリーンな洋楽テイストと、90年代のJ-Popの持つノスタルジックでメロディアスな質感との融合を、さらに突き詰めた会心の一作だ。

 「楽曲に関しては、自分自身が〈いい歌だな〉と感じている、日本の80年代後半~90年代のポップスのテイストを強く感じられるアルバムだと思ってます。楽器の音色にもこだわって、音のダイナミクスとか、ミュージシャンのグルーヴとか、セカンドの時よりもっとナチュラルに仕上げることができました。“Winding Road”“スカイライン”“言い訳ガール”とかは、今までの自分たちらしい音作りで、そのうえで全部打ち込みの“SPECTRUM”を作ったり、Salleyにとっては新しい音が作れたのが嬉しいです」(上口)。

 「“Winding Road”のタイトルは、もちろんビートルズから(笑)。“The Long And Winding Road”って、聴いていると本当に道が続いていく感じがするじゃないですか。この曲のメロディーを聴いた時にも、〈一生続く旅〉みたいなものを感じたので、〈これは絶対詞を書きたい!〉とすぐに思いました。そういう曲が今回は多いんですよ。“kodama”に関しても、メロディーを聴いた瞬間に〈これは絶対シングルですよ〉と断言して。そういう力がすごくありました」(うらら)。

 歌詞は、前作以上にリアリティーがグッと増した。20代後半、うららの周囲で一番ホットな話題だという〈結婚〉をテーマにした“Winding Road”をはじめ、若い日に言えなかった後悔を切なく思い起こす“kodama”、恋する女子の本音をそっと打ち明ける“小さな嘘”“カノジョとカレシ”“言い訳ガール”など、うららいわく〈女の子は本当はこういうことが言いたいんです、という説明書のような歌〉も説得力満点だ。

 「伝えたいことをいろいろ詰め込めたなって、今、すごく思ってます。“SPECTRUM”も、韻を踏めばいいやという気持ちで書いてたけど、結果的には前に進む歌になってるし、“真昼の月”も、今の社会に対してずっと考えていたことを書けたし。“スカイライン”で旅立って、“Home”で帰る場所があるからがんばれるんだと思って、“Clear”で自分がここに来た意味をちゃんと思い出すというのも、いい流れだと思います」(うらら)。

 タイトル・チューンの“Clear”は、今のSalleyを象徴する曲だ。穏やかにループするビートと柔らかいアコースティック・ギターの響きに乗せ、歌い続ける意味を静かに噛み締めるうららの歌の表情がいい。

 「すべてが透明になっても、〈歌が好きだ〉という思いは残って、それがあるから今ここにいるんだよねということを、この1年の活動で改めて思ったんですよね。迷いもあったなかで、〈音楽が好きだからやってるんだ〉という原点に帰った時に、景色がパッと開ける感じがしたので。その景色を描写したくて、こういう感じになりました。すごく気に入ってます」(うらら)。

 マスタリングの最終段階までこだわり抜いた、ふくよかな音像も心地良い。時代を超える良質なポップスの逸品として、ぜひ耳にしてほしいアルバムだ。

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