COLUMN

聴いたことのないアイデア満載! アート・リンゼイが紡ぐ、奇妙だけどこの上なく甘美でドリーミーな13年ぶり新作

アート・リンゼイ『Cuidado Madame』

聴いたことのないアイデア満載! アート・リンゼイが紡ぐ、奇妙だけどこの上なく甘美でドリーミーな13年ぶり新作

アートの閃きは枯れちゃいなかった。奇妙で甘美な夢が13年ぶりに花開く!

ARTO LINDSAY Cuidado Madame Righteous Babe/Pヴァイン(2017)

 異才アート・リンゼイが放った13年ぶりのニュー・アルバム『Cuidado Madame』は、〈近未来的なパラレル・ワールドのささくれ立った最新アーバン・ソウル〉とでも評したくなる出来だ。〈ブラジルの民間信仰であるカンドンブレの音楽と、アメリカのゴスペルの融合〉を裏テーマに、メルヴィン・ギブス(ベース)とルーカス・サンタナ(ギター)以外はNY新世代ジャズ・シーンの新鋭たちを起用。最初から最後まで聴いたことのないアイデア満載のアレンジを施した聴き流し不可能な音世界で、刺激だらけの極めて危険な内容ながら、全体的には昔見た夢のおぼろげな記憶のなかで鳴っていた、ひどく奇妙だけどこのうえないほど甘美な音のようにドリーミーなポップ——そんな摩訶不思議な印象が残る。

 スウィートなメロディー&理知的でセクシーなヴォーカルなど洗練されたポップ・フィールは健在なれど、トレードマークのブッ壊れたギター・プレイや狂暴なエレクトロニクスといったノイズ成分が多め。ギリギリのところで制御された原始的な野蛮さを湛えたリズム・アレンジからは、〈ノーウェイヴの中心人物〉だった頃のような攻めの姿勢も窺える。

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