打ち捨てられた古いアップライト・ピアノを用いて、家族や友人等、ある特定の個人に向けて作られた楽曲たち。母や父、友人の名前をタイトルに冠した楽曲の中身は、錆びたピアノの弦が奏でるオーガニックな音色や繊細なメロディ-、柔らかなグリッチノイズで彩られており、人を想うことの悲しみや優しさが表出しているかのよう。メンバー個人としては90年代から活動するイギリスのデュオが2005年に放ったピアノエレクトロニカの名盤が新装のアートワークと共に日本限定で再発。当時はまだ名づけられていなかったであろうポストクラシカルというジャンルの萌芽も感じられる。