本当ならリリース日付近で書いたほうがいいとは思うのですが、鉄は熱いうちに打っておこうかな。

6月11日にリリースされる星野源氏のニュー・シングル『Crazy Crazy/桜の森』を一足お先に聴かせてもらいました。両A面ということで表題にある2曲を含む4曲入り。本作でなかでも非常に感銘を受けたのが“桜の森”と“Night Troop”です。“桜の森”はディスコ、“Night Troops”はネオ・ソウルホセ・ジェイムズら最近のオルタナティヴジャズを思わせるナンバーになっていて、仕上がりはもちろん〈まんま〉ではないのですが、そのリメイクっぷりが良い加減の〈星野源味〉になっていて、フムフムと感心してしまいました。

【参考動画】ブルーノ・マーズの2012年作『Unorthodox Jukebox』収録曲“Treasure” ディスコー!

 

ネオ・ソウル風味の曲と言えば、昨年リリースされたシングル“ギャグ”のカップリング曲“ダスト”はディアンジェロをイメージしていた……というエピソードを、同曲でベースを弾いたハマ・オカモト氏がbounceの連載記事で語ってくれましたが、これもイントロから相当美味なナンバーです。

【参考動画】ディアンジェロの2000年作『Voodoo』収録曲“Feel Like Makin' Love”

 

いずれの要素も世界的にここしばらくのトレンドになっていたり、注目されている分野だったりするので、それっぽい曲は現在数多作られています。でもただ採り入れてるというのは、個人的にそこまで興味を惹かれないものが多い(もちろんカッコイイものはあります)。そんななかでも彼の〈○○っぽい〉曲は、決してこれまでの自身の音楽性の枠を唐突に乗り越えるでもなく、そのエッセンスをとても自然に、無邪気に、飄々と、まるで何事もなかったかのようにフワッと&堂々と押し出した絶妙なプロダクションによって、ハイクォリティーなポップソングになっているのです。

そういうのよくあるじゃん、と言われればそれまでだけど……この作品ではすごく腑に落ちたというか、自分の勝手な幻想とも言える〈この時代にあるべきポップスの姿〉にハマった気がして、心惹かれるものがありました。イイ、本当にイイ。

今回のシングルでのインタヴュー、そろそろいろんなメディアに出てくる頃ですよね、読んでみよう。ていうかMikikiには載らないの?ってね、ハハハ。ちなみに、ラスト曲“海を掬う”のリリックで使われている言葉が、とても素敵です。