INTERVIEW

もう一度バカになろう! BiS、メンバー各々の個性がいっそう際立った新作『Re: STUPID』に込めた想いを語る

プー・ルイ リーダー兼ヨゴレ担当

時は何故待たず追いかけるの――研究と進化を続けながらも、常に何かに追われて彼女たちは激しくスピードを上げていく。いまこそ、もう一度バカになろう!

 昨年9月のメンバー決定からおよそ半年、BiSはもがいています。始動から2か月でアルバム『Brand-new idol Society2』を発表し、下北沢SHELTERでワンマンを開催。12月に敢行した初の全国ツアーから息つく暇もなく、年明けには100kmマラソンといった試練も絡めつつ〈Re:STUPiD TOUR〉を行い、それらの多くを完売続きで駆け抜けてきました。端から見れば順調な推移ではありましょうが、求められるスピード感と看板の重みに煽られ、当人たちはまだまだ試行錯誤の真っただ中……。ということで、前作から3か月のスパンで早くもニュー・アルバム『Re:STUPiD』が登場したのを機に、今回はリーダーのプー・ルイを除く4人に話を訊いてみましょう。

 

心が通じ合った瞬間

――ちょうどこの掲載号の出る翌日(2月26日)がファイナルとなりますが、〈Re: STUPiD TOUR〉はいかがでしたか。

キカ・フロント・フロンタール「私はライヴ中に凄いみんなと目が合うようになったなって、感じるようになりましたね」

アヤ・エイトプリンス「確かに。前のツアーでは、全然合わなかったもんね」

キカ「目も合わないし、息も合わない頃が凄いあって。見ても見てくれないとか」

ペリ・ウブ「前はね、ひとりでライヴやりたかったんですよ~」

キカ「何それ、5人組なんですけど(笑)!」

アヤ「衝撃の事実……」

ペリ「ちがうの、なんか集中したかったんですよ。目を見たら、見られるじゃないですか。そうだったんですけど、最近はみんなを見て、動けるようになりました。決まった通りのことだけじゃなく、毎回ステージで〈今日はこっちに動いてみよう〉とか、〈あなたと絡んでみよう〉みたいな」

ゴ・ジーラ「それがなんか、徐々に出てきたかなって」

ペリ「そうするのが楽しいということに気付きましたね」

アヤ・エイトプリンス 美人担当

――前のツアーでは違いましたか?

ゴジ「前のツアーは基本のセットリストが決まってて、その通りに練習して自分たちは一曲一曲に集中してがんばるっていうことでやってたんですけど、今回はセトリを事前に知らされなくて、毎回。いきなり曲がかかって〈はっ!〉ってなってたんです」

ペリ「そうそうそう。ホントに最初はめっちゃ集中して、曲が終わるたびにスゴい顔してました(笑)。〈次はどの曲?〉って」

キカ「セトリが決まってたら事前にイメトレもできるじゃないですか。今回はそれがないので、だからこそ、それぞれが周りを見て、臨機応変に考えられるようになって」

ゴジ「前はセットリストをいただいたら、その練習をぶっ通しでやれたんですけど、今回は〈イントロドン〉みたいな感じで」

キカ「そうそう、〈イントロドン〉の練習とかしたよね。コレの次にコレがきたら、どう動くか、とか」

ペリ「そうなんですよ。移動とかも毎回変わるんで。でも、それも、なんか、どうやって移動するかとか、みんなで息を合わせてやるのとか楽しくなって」

アヤ「うん、やってて楽しかった。ワクワクする、次はなんだろう~って」

キカ「そういう気持ちがライヴ中に生まれたのも、それをどうしよう?って5人で話す機会が増えたのも良いことでした」

――そういうなかで、この日は良かった!って達成感の強いライヴというと?

アヤ「全員一致かわかんないけど、私は仙台かな。ほんの数日前ですけど」

キカ「うん、仙台は良かった。あと、ツアーの前ですけど、年末のWWW Xは終わった後にプーちゃんが泣いたんです……ライヴが良かったって」

ペリ「WWW Xは対バンだったんですけど、いわば、その日はみんなが初めて自分の意志で動いたライヴだったんですよ」

アヤ「仙台の時もプーちゃんが〈楽しかった〉って言ってて、私も同じ気持ちだったから、嬉しいなって思いましたね。しかもみんなの目もすごく合ったりして……」

キカ「プーちゃんが普通にライヴ中に〈ありがとう〉ってマイク通さないでうちらに言ってきたんですよ。わ、エモい!って」

アヤ「その日が一番、本当に全員の心が通じたなって、私は思いました。みんながどうかはわからない」

キカ「思ってるよ(笑)!」

BiS Re: STUPiD つばさレコード(2017)

5人の個性が出てきた

――そんななかで、アルバム『Re:STUPiD』が完成しました。

ゴジ「そのまま〈もう一度バカになろう〉っていう意味です。セットリストを知らずにツアーをやったのも、お客さんと同じ立場でバカになって楽しみましょ、っていうことなので」

――今回は10曲すべてが新曲ですね。

ゴジ「ツアー回りながら歌詞を書いたりして。で、年末にたくさんレコーディングして、歌録ってもらったりとかしてました」

キカ「なんか、2日間ライヴやって、帰ってきて翌日すぐ録った曲もあるから声とかガラッガラで。風邪で鼻声だったり。それを活かしつつ、サウンド・プロデューサーの松隈(ケンタ)さんたちが良いように編集してくださって(笑)」

ペリ「むしろ、そこがカッコイイのもあるんですよ」

キカ・フロント・フロンタール

――前作も短期間で制作されましたよね。

ペリ「前回もめっちゃ早かった」

キカ「ただ、前作はもともと私たちもオーディションの課題曲で覚えてた曲がメインだったので。前より覚えるスピードは速くなったけど、今回は全部新曲だし、それでも大変でした」

ペリ「大変だったけど、自分の曲が増えた感じで、すっげえ嬉しいですね~。旧曲を歌えるのも嬉しいんですけど、やっぱ5人で1から作り上げたものっていうか」

アヤ「まだ誰も歌ってない曲だしね」

ペリ「まっさらな気持ちで、自分の自由に歌えたというか、そんな感じがします」

――皆さんがそれぞれ作詞に関わってるのも大きいかもしれませんね。

ゴジ「はい、私はやっぱり自分が作詞している3曲が大好きです。“twisted grunge”はその、私がこうなりたいなって考える理想には、もしかしたら私自身がいないほうが近づけるんじゃないかなって考えて……。だから、いつか誰かに必要とされてみたいな、そんな日は来るのかな~とか思ったりしながら書いた曲です」

ペリ「いい歌詞」

キカ「“twisted grunge”はライヴでやるたび好きになる。すげえエモいなって思って」

アヤ「私も好き」

——歌詞はゴ・ジーラさんっぽいけど、3曲ともいままでのBiSと比べて朗らかな感じのする曲ですね。“Never Starting Song”は楽しげなスカだったり。

ゴジ「“Never Starting Song”はなんか寝る前とかに〈明日起きたくないな〉とか思って、なんか、生きたくはないんですよ、けど死にたくはないって。で、生きたくないけど、死ぬのってやっぱ面倒臭いし、人様にとても迷惑をかけることなので、でも、生きたくないから辛いなって気持ちを、すごく明るい曲調に乗せて書いてみました(笑)。で、“SAY YES”は……私は友達がいないんですけど、一人で月8くらいライヴハウスに通っていた頃が、もうすっごく楽しかったので、だから〈友達おらんくても、音楽があれば楽しいから良くね?〉みたいな気持ちを書いた曲です」

――前作では歌割りが少なく思えましたけど、今回はゴ・ジーラさんの歌も凄い前に出てきてるし、強くなってますね。

キカ「“NOT the END”の2サビでゴ・ジーラが出てくるところとか、グッときた」

ゴジ「本当に? 嬉しい」

――ゴ・ジーラさんもですけど、前以上に歌い方の違いとか、5人分の声が聴こえてくるアルバムという気がしました。

ペリ「あ~、私も思いました。なんかすごくみんなの個性、聴いててね、人間味が出た気がしてる~!」

ゴジ「聴き分けができるようになったよね」

――旧曲の場合は、無意識に原曲の歌い方に寄せていってたのかもしれませんね。

アヤ「確かに。お手本があったから」

ペリ「そうなんですよ。ズレないように歌うのに一生懸命だったんですけど。今回はちょっとヒネるというか、歌い方とかを自分で考えて、ちょっとカッコつけてみようとか、挑むようになりました」

ゴ・ジーラ 怪獣担当

――そのペリさんは“ぎぶみあちょこれいと”を作詞されてます。アルバムでもいちばんパンキッシュな曲ですけど、毒々しいアレンジと歌詞が合ってますね。

ペリ「やったね! これはまず曲が好きだったんです。私は比較的すべてにおいてカッコイイものが好きなんですよ、カワイイとかより。だから、悪魔みたいな……その毒っ気がある感じが好きで、くるった感じにしたかったんですよね~。なんか、あんまり愛されてない子どもを妄想して書きましたね、うん。みんな自分の気持ちとかを書くことが多いと思うんですけど、私のこれは物語を書いたみたいな感じです」

ゴジ「これは歌詞がおもしろくて」

ペリ「そうそう、もう音楽は耳で聴くだけじゃないんですよ! そろそろ曲は目でも楽しむものになってくると思うので、やっぱ、歌詞も大事にされてくるんですよね」

――これは歌詞カードで見ないとですね。

キカ「最初は文字化けかと思いましたけど(笑)、ウブだな~って感じ」

アヤ「笑っちゃったよね。本当に天才なんだなって、改めて実感しました」

キカ「この曲はライヴでもペリちゃんカッコイイんですよ。シャンとしてる」

ペリ「なんかねえ、ホントにうれしい。すごく疲れる曲なんですけど、〈よっしゃー! 私の曲だ〉って、いちばん目立てるし」

 

昔の曲に勝ちたい

――はい、そしてキカさんは“明日が来るなら”を作詞されています。

キカ「はい、作詞した曲が好きなのはもう大前提なんですけど、曲調で一番好きなのは“ミステリアスホール”ですね」

アヤ「これはもうキカの歌って感じ」

キカ「まさにさっき話した、声がガラガラの日にレコーディングしたもので、絞り出した歌がそのまま使われてるんです。サビとか、もうシャガレてるんですよね」

ペリ「ガナる感じのところがエモくて」

アヤ「ね、レコーディングで聴いてた時、カッコイイ!ってなったよね」

――すごくラウド系の激しい曲で。一方、“明日が来るなら”は直球のラヴソングというか、歌詞っぽい歌詞を書かれてます。

キカ「たぶん、渡辺(淳之介:プロデューサー)さんにはそこが嫌われるんですけど、歌詞っぽい歌詞ばっかり書いちゃうんですよね。この曲は〈恋愛系で書いて〉っていう指定があったので、伝えたいけど伝えてしまったら壊れちゃうから、そのままでいようかな、どうしようかな、っていう壊したくない関係を書きました。幼馴染みとか、仲の良い男友達とか、いろいろ当てはまりますよね。例えば……不倫とか」

ゴジ「経験談ですね」

キカ「フィクションです」

ペリ「〈そんなことがあったのか~〉って」

――まあ、みんないろいろありますから。

キカ「そういうもんですよ」

――では、プー・ルイさん作詞の“NOT the END”と“ロミオの心臓”については。

ゴジ「“ロミオの心臓”は、プーちゃんからウブちゃんに宛てた曲です」

――そうなんですね。

ペリ「いや~、私が元気のない時期があったんですよ。なんか心が痛くて。みんなも私が元気がないから気を遣って〈イェー〉とか言ってこないし、私は避けられてると思ってたんですよ、実は」

ゴジ「その時は去年のツアー中で、3週間くらい元気がなくて。なんで喋らへんのやろ?って心配してたんです」

キカ「ちょうどウブの地元の名古屋とかもあったのに、元気なくて」

ペリ「結局、自分が普通に元気ないなって気付いて、元気になってみようって思ったら、みんな普通になったから、ああ、私が勝手に元気なかったんだなって」

キカ「その時プーちゃんがすっごい心配してたから、最初に歌詞を読んだ時に、ウブのこと言ってるんだなって思いました」

――〈初めまして 元気がないの?/どうしたんです? 勇気がなくて言えないんです〉って。これはそう思うと良いですね。

アヤ「優しい曲ですね」

ペリ・ウブ じんせいらくしょう担当

――ちなみに、アヤさんは作詞されていないですけど、客観的に一番好きな曲は?

アヤ「え~、どれも好きで選べないんですけど、“gives”です。100kmマラソンを走ってる時、頭の中でずっと流れてました。やっぱサビがヤバくてグッとくるし、これからのBiSの代表曲になってほしいです」

――従来のBiSっぽさがいちばん濃いというか。“Hide out cut”とかの……。MVもあって気合いを感じるというか。

ペリ「エモい」

キカ「私、これ、渡辺さんがプーちゃんに向けて書いてるっていうか、そういう感じかなって思いました。もちろん、自分にも当てはまるなと思うところもあるけど」

――そう思いますよね。

アヤ「え、そうなの?」

キカ「いや、私がそう思っただけだから」

ペリ「ちょっとヤバくなってきたよ、そんなふうに考えると胸が苦しくなってくる」

キカ「自分たちの歌なんだから、もっと考えなさいよ!」

アヤ「はい。で、訊かれてないのに答えますけど、2番目に好きなのは“NAKODUB”ですね! これ、〈BUDOKAN〉って、マジで私だけ最初に気付いたんですよ」

――そうなんですか(笑)。

アヤ「いやいやいや、誰も気付いてなくって、〈これ見て見て見て、武道館だよ〉っつったら、〈おお、マジかー!?〉って。しかも、下ネタと掛けてるところにまた感動しましたね」

――〈あそこ立つの見せるから〉っていう……そこはともかく、歌詞は皆さんへのメッセージになりますね。

アヤ「私たちへの〈武道館は諦めてないよ〉っていう気持ちかなって思って、嬉しかったです。こうやって良い曲をいただいてるので、自分たちががんばらないとっていう感じですね」

キカ「ライヴだとそれこそ“Nerve”とか昔の曲の盛り上がりにまだ勝ててないので、だから新曲でもそれ以上のものをこれから作り上げていかないとな、って思います」

 その一方で、詳細は不明ながらBiSHGANG PARADEと合同の〈新メンバー募集オーディション〉も進行中。BiSがこの先どう歩を進めていくのかは……。

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