INTERVIEW

徐々に浸透していくUruの豊かな魅力―〈ガンダム〉EDテーマやShingo Suzuki参加曲収めた新シングル“フリージア”を語る

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  • 2017.03.06
徐々に浸透していくUruの豊かな魅力―〈ガンダム〉EDテーマやShingo Suzuki参加曲収めた新シングル“フリージア”を語る

いのちの糧はどこにある? 聴き手の感情を静かに揺さぶる稀有のシンガーが紡いだ今年最初の楽曲は、物語に寄り添った、ドラマティックでリリカルな体温を備えている。心に響く歌声が浸透していく先は……

 

それに近い感覚

 2013年から自身のYouTubeチャンネルで数々のカヴァー楽曲を披露。右半分の素顔しか見せないモノトーンの映像と、存在感のある歌声で破格のチャンネル登録者数/再生回数を生み出し、昨年6月にメジャー・デビューしたシンガー、Uru

 「ショップで自分のCDにPOPが付いてるのが不思議だったり、自分の曲が店内で流れてるのを聴いた時は、思わずその場でツイートしちゃいました」。

 無邪気にそう答える彼女だが、デビュー・シングル“星の中の君”、続く“The last rain”とリリースを重ねるなかで、その歌声がより多くの人たちの耳に届き、深く刻まれていっていることは確かだ。1月に森ノ宮ピロティホールで行われた初の大阪公演(即日ソールドアウト!)も盛況だったようで。

 「ずっと応援してくださってる方から〈大阪は手強いよ〉とか、〈ライヴ中にツッコミが入る〉って言われてたんですけど(笑)、会場の皆さんがすごく温かくって。その日は“夜空ノムコウ”をカヴァーさせていただいたんですけど、私が生まれて初めて観たライヴがSMAPさんだったので、自分のライヴでSMAPさんの曲を歌い、その次に(“夜空のムコウ”の作曲者である)川村結花さんに作っていただいた“ホントは、ね”を歌えたのが、本当に感慨深かったです。あと、最後は東京でのライヴと同じように皆さんが“星の中の君”を合唱してくださって、私自身が感動させられました。お客さんの顔を見ながら、本当に一緒に歌えてるんだなっていう感覚が得られて、とても嬉しかったです」。

Uru フリージア ソニー(2017)

 メジャー・デビュー後もその顔をハッキリとは見せておらず、ライヴでは客席とステージとの間を薄いベールで覆った演出を施していることもあって、ことヴィジュアルということで言えば〈知られざる部分〉がまだまだ多いイメージだが、シンガーとしての豊かな魅力は、これまでのシングルで(ジャケットの写真に新たな色味が少しずつ加えられていっているように)少しずつ露わにされてきた。そんな彼女からこのたび届いたのがサード・シングルの“フリージア”だ。表題曲は、TVアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のエンディング・テーマとして今年1月からオンエアされているナンバー。歌詞は、当然ながらアニメ本編のストーリーを解釈したうえで、彼女自身が綴ったものだ。

 「いちばん初めの〈ガンダム〉も観て、どういうところから物語が始まったのかとか、そのあたりまで確認しました。アニメの中の世界なんだけど、人間の叙情的な部分というか、ずっと前を向いてるわけではなく、何かがあってつまずいて、地の底を這うような時期もあったり、仲間がいるからこそもう一回立ち上がれたとか、なぜ戦うのか意味がわからなくなってしまったり……ふだん私たちが生活をしていて、別に戦っているわけじゃないですけど、それに近い感覚ってあるなあと思って」。

 カップリングの“娘より”は、1月放送の2時間ドラマ「しあわせの記憶」(脚本:大石静)の主題歌となっていた、胸が熱くなるバラード。

 「家族の間に〈幸せ〉という記憶があれば、離れていても繋がっている――ドラマのコンセプトを最初にいただいて……詞を書くうえでは、自分自身の記憶や体験も散りばめていますね。散りばめているというか、この“娘より”はほぼ全部がリアルです。完全に親を嫌いになった時期はなかったですけど、親の行動に対して〈何でなんだろう?〉と素直に受け止められない時期はあったりして。〈わざと離れて歩いてた 綺麗な服を着て欲しかった〉という歌詞がありますが、そんなに裕福な家庭ではなかったので、子どものことを優先してくれていたんだなって、当時は気付けなくて、いまだから思えることなんですよね」。

 

この次へ向かって

 そのように、いわゆる〈お題ありき〉の詞を書き上げた2曲で、リリシストとしてのポテンシャルをさらに引き出された感のあるUruだが、さらにもう一曲のカップリング“No Way !!”では、また違った角度での彼女の魅力を感じることができる。自身が作詞/作曲を手掛け、前作収録の“Sunny day hometown”に続いてOvallShingo Suzukiがアレンジを手掛けるこの曲は、90年代のジャズ・ファンク・テイストを漂わせるナンバー。

 「ちょっとレトロな感じを出したくて、古いラジオから聞こえてきそうな、音の質感もちょっとこもってる感じで仕上げていただきました。当時を懐かしむというより、音としてそういうイメージのものを作りたくて。歌詞も、〈once again, once again......〉っていうサビのフレーズから派生させていってリズムを重視した言葉のチョイスになっています。そのあたりはバラードの詞を書くのとではまったく違いますね。ふだん聴く曲はこういうアップテンポなものも多いので、歌い方もかなり自然な感じだと思います。ノリすぎには気をつけましたけど(笑)。私がこれまで発表してきた楽曲だとバラードのイメージも強いと思うんですが、この“No Way !!”を初めて披露した大阪のライヴではお客さんが手拍子をしてくださって、アップテンポな曲も楽しんでいただけたようです」。

 今回のシングルで、また新たな一面を露わにしたUru。そろそろアルバムを、という声も聞こえてきそうだが、そこに向けての準備、クリエイティヴィティーを高めていく作業は日々……。

 「曲作りもマメにしてるんですけど、最近はショートムーヴィーを作りたいなと思っていろいろやってます。映像だけ撮って、効果音を付けたり画像にフィルターをかけたりするのがすごくおもしろくって。あと、新しい曲や詞のアイデアは、外に出かけて何かをしてるときのほうがよく思いつくんですけど、最近、Eテレの〈2355〉がすごく好きで、それを観てて閃くこともあります(笑)。そこで紹介されたものをそのまま形にするっていうことじゃなくって、あの5分間のほんわかした時間が何か閃くきっかけになる感じなんです」。

 

Uruが2016年にリリースしたシングル。

 

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