80年代を代表するアーバン・アイドル、ニュー・エディション(NE)から舞祭組のような成り立ちで生まれ、大ブレイクを果たしたトリオ……という説明が必要なのかどうか、少なくとも本国USではNE本隊の伝記ドラマが高視聴率を記録して話題になったばかりだ。てなわけで、例えばブルーノ・マーズ“Finesse”を聴いて彼らを思い出した人には待望の、そうでない人にも邂逅してほしい16年ぶりのアルバムである。初作『Poison』(90年)と同じ文字配列のジャケに気合いを窺わせるも、ニュー・ジャック的な懐古のニュアンスは希薄。ビギー“Hypnotize”を敷いたバッド・ボーイ気分の先行カット“Run”のほか、どこかガイっぽいアップ“Find A Way”、かつての舎弟ボーイズIIメンを従えてフィリー作法で迫る“One More Try”など、大まかな〈あの頃〉のムードも利用しながら現在の3人に無理のないスタイルでキメてみせている。艶のあるリッキー・ベルの歌も相変わらず最高だし、この後に噂のNE新作も実現すれば大満足なのだが。