豪雨の中、長髪のカツラの高嶋政宏がヒロイン松雪泰子に向かって叫ぶ。「この雨、痛いな!」。観客は、え?状態だが、こんな珍現象が延々続くからと言ってトンデモ映画的に最強だと言いたい訳ではない。70歳の大林宣彦がとんでもない映画を作ったのだ。震災や戦争に見舞われた長岡の歴史を、過去と現在、虚構と現実を圧倒的なスピードと情報量で並置させ、そして本当に画面内で共存までさせてしまう! 160分間の圧倒的なカオスに呑み込まれたら最後、クライマックスの花火に意味も分からず嗚咽している自分に気付くはすだ。過去は現在であり未来である。そうだ。「まだ戦争には間に合う」のだ。