INTERVIEW

寺下真理子が恋に落ちた音楽―ストラヴィンスキーやモリコーネを多様な愛の形語りかけるように紡いだ新作『ロマンス』を語る

寺下真理子が恋に落ちた音楽―ストラヴィンスキーやモリコーネを多様な愛の形語りかけるように紡いだ新作『ロマンス』を語る

恋に落ちた曲をテーマにした2ndアルバム

 2013年『AVE MARIA』でCDデビューを果たした寺下真理子が、『ロマンス』と題する第2弾をリリース。ブラームスの《コンテンプレーション》からスタートし、ファリャの歌劇『はかなき人生』より《スペイン舞曲》、ストラヴィンスキーの《イタリア組曲》など国や内容や表情の異なる作品を選曲し、編曲作品も含め、多種多様な音楽を披露している。

寺下真理子,須関裕子 ロマンス キング(2017)

 「デビュー・アルバムから今回の録音までの間、いろんな意味で人生の変遷を経験し、音楽的にも大きな変化を遂げたと思っています。これまではロマン派の作品を中心に弾いてきましたが、いまはロシア作品にハマっているため、ストラヴィンスキーはぜひ収録したかった。ストラヴィンスキーは作品によって作風に大きな違いがあり、奥が深い。毎日弾いても飽きない魅力があり、まさに恋に落ちています」

 アルバムの選曲は、ふだんクラシックを聴かない人にも親しんでもらえるよう映画音楽も加えた。

 「マンシーニの《ひまわり》、モリコーネの《ニュー・シネマ・パラダイス》を入れましたが、これらの映画は形こそ違いますがひとつの愛の形を描いている。映画にも魅了されていますが、音楽も大好きなんです」

 さらにショパンの《ノクターン》の編曲版を演奏しているが、これはとても演奏が難しいと語る。

 「この曲はミルシテインの編曲版の録音を聴いて魅了されたのですが、実際に弾いてみるとピアノ的に書かれているためヴァイオリンで演奏するのはとても難しい。やはりショパンはピアノ作品の作曲家だなとつくづく感じます。大好きな曲なのですが…」

 寺下真理子は美しくおだやかでエレガントな雰囲気をたたえているが、一本芯の通った凛とした性格の持ち主。以前は、一匹狼的な面があった。

 「でも、この数年でだいぶ性格が変わりました。仕事というのは周囲の方々と協調しないと進みませんし、いまはみなさんといろんな面で共有することを心がけています。少しは大人になったのでしょうか(笑)、演奏もそれに伴い、成長しているといいのですが…」

 ここには彼女が恋に落ちたという曲が次々に登場してくるが、奏法、解釈、表現は幅広く、さまざまな愛の形を語りかけるように紡ぐ。それぞれの作品のなかに、自身が感じる愛のメッセージを込めながら。

 「今後はロシア作品に焦点を当て、プロコフィエフのソナタ第2番、ショスタコーヴィチの協奏曲、ストラヴィンスキーなどを弾いていきたい。自分の人生を考える上で、いま弾きたいのはロシアの文化や歴史、革命の時代などを音で描き出した音楽です」

やはり芯の強さと目的意識の明確さは変わらない(?)。

 


LIVE INFORMATION

ハウス食品グループファミリーコンサート
○4/9(日)14:30 開演
会場:Bunkamuraオーチャードホール 
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 
指揮:竹本泰蔵 ヴァイオリン:寺下真理子 
ピアノ:CHIAKi 司会:原田知恵
mariko-terashita.com/

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