どちらかと言うとR&B寄りのものばかり聴いてしまうので、幅広くいろんなものを掘りまくっているわけではないけれど、ふとしたタイミングで良いものが結構見つかる韓国のインディー・シーン。ジャンル的にも幅広ければ、有象無象のバンドやトラックメイカーやシンガー・ソングライターなどなどがいるので、一口に〈韓国インディー〉と括ってしまうのは乱暴極まりないし、むしろ失礼……というのは百も承知です。ただ、ここはまぁ適度に適当な(だけど一生懸命書いている)ブログなのでご容赦ください! これまでに本ブログで紹介してきたようなヒップホップ/R&B以外にも、かの地には今も昔も私の耳に留まる音楽がたくさんあるので、ここでは私がいま猛烈に気になっている人たちを紹介したいと思います。


いまもっとも注目すべき韓国のインディー・レーベルだと思うヨンギフェク(Young, Gifted & Wack)から先月末にリリースされた、シン・ヘギョンのEP『나의 가역반응 (My Reversible Reaction)』。説明によると、2014年からミラーという名義でシングルを発表してきた人だそうで、本名(だと思う)では初の作品となります。スロウダイヴを思わせるユルゲイザーなサウンドに乗る、トラッシュキャン・シナトラズというかシャムキャッツというか……なノスタルジーを喚起するメロディーが抜群に良い! ピアノも盛り込んだ3曲目の“모두 주세요 (Everything To Me)”に顕著なエレガントさも素敵です。各曲で印象に残るフレーズをぶち込んでくるあたりもニクイ! 個人的にシューゲイザー好きというわけではないけれど、これは相当な逸材だと思います。

 

PARASOL Someday DRDRamc(2015)

パラソルは、スルタン・オブ・ザ・ディスコのベーシスト・Gが率いる3人組。70sファンク・オマージュなスルタンとはガラッと変わって、アリエル・ピンクを物凄くストーナー・スタイルにしたら……というか、顔がビヨーンと伸びてしまいそうなソフト・サイケ&フォーキーなサウンドが魅力のバンドです。素朴極まりない全員の佇まいやGのヴォーカルは平和そのものだけど、アルバムには結構骨太なブルース・ロックもあったりして、なかなかおもしろい。ギターの音が韓国っぽいな……と思うのは私だけかしら。ソウルでは何度もライヴを観られるチャンスはあったものの、タイミングが合わずにいまだ叶っていないので、早くどうにかしたいです。bonobosSCOOBIE DOとも対バンしていましたよ。

 

SILICA GEL Silica Gel BGBG(2016)

なんとも掴みどころのないバンド、シリカゲル。2015年に音源デビューした5人組で、私は昨年これまたスルタン・オブ・ザ・ディスコの取材の際にレーベルの方からこの初アルバムのCDをいただき、初めて知りました。通して聴くと、もろに上掲のパラソルっぽい曲があったり、シンセを活かしたエモいオルタナ・ロックやモダン・ファンクがあったりと、正直とっ散らかってるんですが、一曲一曲はとても良いしおもしろいので、妙に気になっています。ちなみに、先日パラソルとのコラボでシングル“Space Angel”をリリースしていました。この曲はかなりパラソル寄りのサウンドなのですが、下に貼った昨年のジョイント・ライヴで披露している曲のほうがコラボ感ある気がする……。

パラソル&シリカゲルの2016年のライヴ映像

 

ソウルのYoungmondさんというプロデューサーがフェアブラザー(FAIRBROTHER)という名義で昨年発表した『Husband』というアルバムです。TwitterのTLに流れてきたものが気になって聴いてみたところ、イイ!となった一枚。スティールパンやパーカッション、ストリングスなどサンプリング音を組み上げてダビーなサウンドに仕立てたレゲエ・ポップ作で、歌ものを中心にしつつインストもあり。全体にメロディアス&心地良いムードで統一されていますが、エラいトライバルな感じもあれば、ダンサブルなビートで攻める曲もあったり、個々にさまざまな趣向が凝らされているので飽きません。短絡的ながら……フィッシュマンズっぽい感じもあるなと思いましたよ。ちなみに日本ではCDを手に入れないと聴けなさそうです。ここここで買えます!

 

OOHYO Adventure Mirrorball(2015)

彼女が気になっているのはいまに始まったことではないんです。2014年の初EP『Girl Sense』がリリースされた時から非凡なものを感じ、Mikikiでも何度か取り上げてきているシンセ・ポップ女子、ウヒョ。シティー・ポップなるワードに敏感な人にもオススメの洗練された宅録曲が満載で、泣きたくなるほど素晴らしいメロディーセンスの持ち主であります。ちょっと陰のある感じもまた魅力で、何より歌声が個人的にツボ。昨年はついにメジャー流通のシングル“Youth”を発表しています。それまでの作風に則ったエレクトロニック仕様の〈Night〉、バンド・サウンドでより広いリスナーを意識したと思しき〈Day〉というアレンジ違いの2ヴァージョンが収録され、いずれも最高の仕上がり! この人は普通にブレイクしそう。