TVオーディション番組「Rising Star」でロメイン・ヴァーゴより2年早く優勝し、タミー・チンの相手役を務めるなど約10年前からヒット曲に関与するも、これが正式なインターナショナル・デビュー盤。糖度の高い優男風情な声を武器に、男女の恋愛模様を表現することに長けた彼は、かねてより欧米のトレンドに敏感だったシンガーです。そんなわけで、セルフ・プロデュースで挑んだベッドルーム直行のアンビエントR&B“Magic”や、チップマンク改めチップを招いてグライミーにキメた“Under The Influence”ほか、近頃のドレイクの動きにも呼応するようなナンバーは流石の出来。また、終盤にはレゲトンっぽい2曲を投入し、ラテン・アーバン方面への目配せも忘れません。地球上のさまざまな現場でレゲエが素材として楽しまれているいま、本場ジャマイカからこういう柔軟なアルバムが登場した意義は大きいはず。この流れに乗ってより大きな舞台で〈I'm A Big Deal〉ぶりをアピールしてほしいです。