グライムのゴッドファーザー、渾身の新作!!

 シーンの地図が更新され、グライムの名が改めて大きく位置づけられた2016年。その黎明期から活躍してきたパイオニアにして〈ゴッドファーザー・オブ・グライム〉として君臨するワイリーが現行シーンに突き付けた回答こそ文字通りの新作『Godfather』である。公式のアルバムはビッグ・ダダ発の『Snakes & Ladders』(2014年)以来で、今回は自身の新レーベルとなるCTAからのリリース。結果的には毎度の延期を重ねたため、実際に出たのは年明けだったのだが、先行カット“Can't Go Wrong”の好評も手伝い、アルバムはソロ・キャリアで初めて全英TOP10に入るビッグ・ヒットを記録済みだ。

WILEY Godfather CTA(2017)

 スケプタJMEフロウダンスクラッチーらロール・ディープ~BBK人脈はもちろん、新作を発表したばかりのデヴリン、旬のPマネーストームジー、ヴェテランのリーサル・ビズルらアンダーグラウンドのVIPたちがズラリと馳せ参じているが、後進のフックアップを主軸としたり、極端なポップ作に振り切れることも多いワイリーだけに、オールスター的でストレートな公式盤は却って珍しいもの。本人も〈いままでで一番誇らしいアルバム〉と語る通り、直球のストリート・グライムを浴びて穴だらけになってほしい。