ジェイムズ・ホールデンが主宰するボーダー・コミュニティの看板アーティストとして隆盛を誇った孤高の天才、ネイサン・フェイクが老舗のニンジャ・チューンへと電撃移籍して放つ通算4作目。ホールデンやルーク・アボットといった一派が、いわゆる〈テクノ〉から逸脱し、フリーフォームな表現方法で新たな活路を見い出したように、ここでのネイサンもまた大きな変化を求めたようで、プルリエントことヴァチカン・シャドウをフィーチャーした先行曲“Degreelessness”でダークなエレクトロを怪演したかと思えば、ヴォーカリストとの初コラボを果たした“RVK”ではエモーショナルな歌唱が舞うエクスペリメンタル・ポップを披露。“HoursDaysMonthsSeasons”ではかつての音像を彷彿とさせる作風ながらも一段と大きくなったスケールを感じさせ、プロデューサーとしての成長は著しい。名曲“The Sky Was Pink”から13年。ビッグ・レーベルの輝かしい歴史に名を残す傑作で大きな一歩を踏み出したと言えそうだ