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インパクトを連ねてきた女王蜂のディスコグラフィー

女王蜂 魔女狩り 女王レコード(2011)

前年は〈フジロック〉の〈ROOKIE A GO-GO〉に出演し、知名度が高まるなかで発表された初の全国流通盤。妖艶なヴィジュアルに加え、地声からファルセットまでを自在に操るアヴちゃんのジェンダーレスな存在感は衝撃をもってシーンに迎えられた。歌謡ガレージ・パンクもディスコ・ファンクも毒々しく制す、現在と地続きの音楽性と初々しい混沌がここに。

 

女王蜂 孔雀 女王レコード/ソニー(2011)

エロティックな佇まいはそのままに、ハード・ロック然としたノイジーなナンバーからパワー・バラードまでが並ぶメジャー・デビュー・アルバム。本人役で出演した映画「モテキ」のメイン・テーマ“デスコ”や、〈あ~らら こ~ら~ら~♪〉というお馴染みのフレーズをフックに教室内の暗部を描く“告げ口”など、以降はステージの鉄板となるナンバーもちらほらと。

 

女王蜂 蛇姫様 女王レコード/ソニー(2012)

“ストロベリヰ”“無題”など15~16歳の頃の原風景を映した楽曲も含む、〈破壊〉がテーマの3作目。歌謡テイストが後退し、リリックもサウンドもよりヘヴィーに深化している。そのなかで異彩を放つのは、ノスタルジーすら覚えるピアノとギターを軸に、〈堕胎〉がモチーフの物語を綴る10分弱の大曲“無題”だ。全体として、〈死〉を通過したあとに〈生〉が残る一枚に。

 

女王蜂 奇麗 ソニー(2015)

前作の発表直後にギターのギギちゃんが〈降板〉。1年間の活動休止→ひばりくんのメンバー加入を経て届いたフル作は、〈恋愛〉がテーマ。アヴちゃんが出演したドラマ「怪奇恋愛作戦」への提供曲の他、アイドル・ポップ風、フォーク調、疾走パンクなどアレンジはより奔放に。“七つの子”を挿んだ細やかな曲展開にシアトリカルな歌世界を込めた“折り鶴”も壮絶だ。

 

女王蜂 失神 ソニー(2015)

『奇麗』から4か月で届いたEPでは、同作に収録の“売春”が篠崎愛/志磨遼平(ドレスコーズ)を迎えた2通りのデュエット曲“売旬”として再生。『Q』における“超スリラ”のオリジナル=ミラーボールが似合うダンス・チューン“スリラ”、エッジーなギター・ロック“ギラギラ”、脱退したギギちゃんについて歌った“空中戦”と、フィジカルな初出のナンバーも充実の全5曲だ。

 

女王蜂 vs 獄門島一家 金星/死亡遊戯 女王レコード/ソニー(2016)

女王蜂の休止中にアヴちゃんが中村達也、KenKen、長岡亮介と結成したバンドとのスプリット盤。アヴちゃんのトランペットも飛び出す獄門島一家に対し、女王蜂はDAOKOとの新録版が『Q』にも収められたキラー・ディスコ“金星”と、シティー風味の詞世界が意外な、かつ〈らしい〉結末を迎える“く・ち・づ・け”の2曲で応戦している。