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BASIがメロウな愛の域に辿り着くまで

BASI RAP U BASIC MUSIC(2013)

ソロ名義での3作目。『ひとつになるとき』と“ゆれる”が絶賛されていたEVISBEATSに半数以上のトラックを委ね、溢れる詩情を優しく注ぎ込む。そのなかでレジェンドの茂千代を招いた“夜明け前”も印象的だ。いわゆるヒップホップらしさの希薄な〈どんな音か想像させるジャケ〉もここから。

 

BASI MELLOW BASIC(2014)

表題そのものズバリな4作目。BASIとはDesign名義でコラボ作も出している東里起(Small Circle of Friends)が全編を手掛け、洗練されたジャジーなループと落ち着いた語り口で“果てない”などの名曲をものにしている。同年にBASIC MUSICでアルバムを出したZIMBACKの好演も。

 

WATT a.k.a. ヨッテルブッテル 諭吉(2015)

NORIKIYOとの仕事で名を上げたMC/ビートメイカー。狂おしいソウル・ループの心地良さと共に日常感に満ちた自身のラップも魅力的な本作では、“待ち合わせ”にBASIをフィーチャー。本文にもあるように、今回の『LOVEBUM』で実に4曲を手掛けるきっかけにもなった。

 

Small Circle of Friends Silence 75 records(2016)

『VOICERATION』『MELLOW』の立役者であり、新作でも“SING ALONG AGAIN”を手掛けた東里起を擁するユニット。90年代には〈渋谷系ラップ〉と呼ばれた感性が現行のメロウネスで結び付く様子は興味深い。こちらにBASIの参加はないが『LOVEBUM』と併せて聴きたい一枚だ。

 

韻シスト CLASSIX groovillage(2016)

現在はBASIとサッコンの2MC+演奏陣という編成で20周年を控えるバンド。PUSHIM主宰レーベルと契約した久々のメジャー作ながら、心地良さを自由に追求する姿勢は変わらず。サッコンもCHOP THE ONIONや大阪☆春夏秋冬の作品でメロディアスな手腕を発揮している。

 

YOSA Orion OMAKE CLUB(2016)

CHOP THE ONIONとの長い縁を挙げるまでもなく、BASIのメロウネスはOMAKE CLUBの音世界にも通じるものがある。本作では“運命”に客演。なお、YOSAのメロウなミックスCD『CITY HIP POP MIX』にはSTUTSらの曲と並んでTHE BED ROOM TAPE×BASIの“Free”も収まっていた。