ピアニストで作曲家の川上ミネが、京都・清水の舞台で行う〈川上ミネ ピアノリサイタル〉は昨年12回目をむかえた。今作はスタジオ・レコーディング曲がその清水寺での音響と合体し、ピアノリサイタルを再現。収録曲はNHKの人気番組『猫のしっぽカエルの手』の挿入曲《道》のほか新曲を含む全10曲。どの曲にも彼女の世界観が映し出され、虫の声と静寂とピアノの響きに、こちらから向かわずともごく自然に包み込まれる。なぜか誰もに共通するノスタルジアをうまく表現する秘密は、スケッチブックから生まれるという作曲のしかたとか、彼女のそういう何気ない自然体なところにあるのかも。