INVISIBLE TOUCH
リアルタイムなダンス・サウンドが、言葉よりも雄弁にその成長を物語る。先のことなんて誰にも見えないけど、デビュー15周年を経て次の地平へ向かった3人の未来には、明るい予感しかしない!

 ニュー・ジャック・スウィングを直線的に咀嚼した昨年5月の“Boom Word Up”は、懐かしくも新しい音の輪廻と15年のキャリア推移を重ね合わせつつ、『Blue Blood』(2015年)の延長線上で捉えることのできるアップ・ナンバーだったが、それに続いた8月のシングル“Backstage”ではトロピカル・ハウスに挑み、モードの切り替えをハッキリ提示してきたw-inds.。そこからチェインスモーカーズ系のシンセ・ポップに取り組んだ今年最初のシングル“We Don't Need To Talk Anymore”に至った……とか、ダラダラ書いておいてアレだが、もうそろそろw-inds.が〈そういうアーティスト〉であることを前提にしてしまいたくもなる。そういったトレンディーなジャンル名(というかアレンジの種類)を羅列することが実際は何の証明にもならないのは(トレンド=ポピュラーという意味において)ポップ・ミュージックの常識でもあるわけだし、そうでなくても3人はとっくに〈○○○をやってるから凄い!〉といった域で語るのが野暮なほどの実績を残してきているのだから。

 

w-inds. INVISIBLE ポニーキャニオン(2017)

 ……というわけで(?)、またも時代の空気と独自性をナチュラルに結び付けた、2年ぶりのニュー・アルバム。シングル群をキーとして配しながら、それらの成果も消化吸収した進化ぶりをしっかり持ち味として披露してくれているのが毎度の頼もしさだ。ここでもメロウ系ムーンバートンの甘味を取り込んだ“Come Back to Bed”や、トロピカルな音色を用いながらも回転数を上げて簡素なダンス・トラックに仕立てたような“Complicated”あたりは、シングルでのトライを着実に持ち帰った胸躍るヴァリエーションだし、そこに橘慶太の繊細な美声を中心としたヴォーカルが乗ることで他の何者でもないw-inds.節に仕上がっているのは言わずもがな。

 3人の声ということでは、それぞれが作詞した比較的オーセンティックなソロ・チューンもストレートな聴きどころ。インティメイトなスロウ“TABOO”では前段階でのR&B路線とも接続する濃密さで迫ってくるし、威勢のいいオールド・スクールなラップとフューチャー・ハウス的なビルドアップの大仰さがキャッチーに絡む“Players”での大団円も下世話でカッコ良い。さらにボーナス・トラックには、フューチャー・ベース仕立てな“We Don't Need To Talk Anymore”のリミックスも収録。インディー・ポップ的なジャケで意表を突かれた人も多いだろうけど、やっぱり今回も文句ナシ。最高!