こちらのブツは純粋なグライム作品が全英アルバム・チャートNo.1を獲得した初の例になるそうで……何ともモニュメンタルな勲章もオマケに付いた、ストームジーのファースト・アルバム。例によってワイリーら先達の作品に抜擢され、大ヒット“Shut Up”(2015年)を生み出す前からシーン期待の存在だったサウス・ロンドン出身のラッパー。今回ほぼ全編に渡ってプロデュースを担当したのは、今年に入ってからの豪快な先行ヒット“Big For Your Boots”も手掛けていた名匠フレイザーT・スミスだ。いわゆるド直球なグライム作品の印象はあまりないものの、USアーバンに通じる意匠も交えた手腕が、スケプタらのラフネスとは異なる越境性を作中に持ち込んだのかもしれない。ケラーニとの“Cigarettes & Cush”では往年のカクテル系2ステップ風味に乗ったり、“Don't Cry For Me”は馴染みのラレイ・リッチーに寄せてみたり、無頼に見えて主役の対応力も見事。何にせよ今年のUKシーンを象徴する一枚になることは間違いない!