キッズから信頼の厚いKerrang!誌とAP誌も揃って〈期待の新人〉と太鼓判を押している英国はサウサンプトンの5人組が、結成3年目に注目のファースト・フル・アルバムを完成させた。ダムドやミスフィッツへの愛を公言し、〈ホラー・パンク〉を標榜しているが、それはこのバンドの一側面にしか過ぎない。シンガロング必至のコーラスをふんだんに盛り込んだ雄々しいパンク・ロックは、オフスプリングのファンにもオススメ。そうなると、朗々と歌い上げるヴォーカルはグレン・ダンジグというより、デクスター・ホランドっぽいと書くべきか。オペラ風の“Suzanne”からはグラム・ロックの影響も窺えるし、ピアノが効いた“Choose To Live”や、紅一点の鍵盤奏者がヴァイオリンの音色を連れてエモーショナルに歌い上げる“Crickets”といったバラードも高水準。パンク作品としてはもちろん、そのシーンに留まらないポテンシャルを感じながら聴くと、より楽しめる一枚になっている。