《冬の旅》を稀代の知性派テノールが徹底的に解析した一冊。各曲ごとに章を設け、音楽的には一部楽譜も掲載ししっかりと解説、演奏者としての経験からの興味深いエピソードも随所にあり、さらに当時の時代背景も絡め、縦横無尽に書き尽くし、豊富な学識と旺盛な探究心を存分に発揮し、この歌曲の魅力を伝えています。その文章は実に饒舌。400ページを超える長さを全く感じさせず読んでいて飽きさせない。楽譜を始めこの曲にまつわる写真、美術作品等豊富に掲載。カラーの色合いも美しい。この力作が日本語訳で出版されたことを喜びたい。