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ルーカス・ゲニューシャスのストラヴィンスキーが聴きどころ

 2010年ショパン国際ピアノコンクール第2位、2015年チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門第2位という輝かしい入賞歴を誇るルーカス・ゲニューシャスは、ショパンからフランス、ロシア作品まで幅広いレパートリーをもつ。ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017では、〈ラ・ダンス 舞曲の祭典〉のテーマに合わせ、ショパン“マズルカ集”から、ラヴェル“ソナチネ”、ストラヴィンスキー“兵士の物語”から王の行進曲、コラール、悪魔の踊りという個性的な選曲を披露する。

 「音楽は舞曲から生まれています。ですから、今年のテーマによる選曲は自然に決まりました。僕はショパンを長年演奏してきましたが、特にマズルカはポーランドの舞曲の要素を色濃く反映しているため、ぜひ選びたかった。ラヴェルのソナチネの第2楽章はメヌエットです。バロック時代の舞曲のリズムが用いられた、古雅で美しい曲です」

 とりわけ今回ゲニューシャスが力を入れているのが、ストラヴィンスキーの曲だ。

 「僕は子どものころからストラヴィンスキーの“火の鳥”“ベトルーシュカ”“春の祭典”“プルチネルラ”“ミューズをつかさどるアポロ”などのバレエ音楽に魅了されていて、いまは作品の研究を行っています。今回は“兵士の物語”をストラヴィンスキー自身がピアノ用に編曲した版で演奏します。新たな発見があると思いますよ」

 ストラヴィンスキーの話をすると止まらないといった感じだ。彼は友人の作曲家、レオニード・デシャトニコフの作品も積極的に演奏するなど、視野の広さを示している。

 「今回のLFJでは音楽の多面的な面を聴いてほしいと思い、プログラムを考えたつもり。さまざまな舞曲からその時代、国、民族、文化などが浮かび上がる。それを楽しんでほしい」

 ストラヴィンスキーの作品はあまり演奏される機会がない。ゲニューシャスが魅了され、研究した成果をぜひ堪能したい。この他、今回はピアニストの意欲的なプロが目白押しだ。(interview & text:伊熊よし子)

 


PROFILE: LUKAS GENIUŠAS
1990年、モスクワ生まれ。5歳のときに、モスクワのショパン音楽大学の予備コースでピアノを始め、2008年に首席で卒業。2010年のショパン国際コンクールで第2位に入賞、2015年モスクワでの第15回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門では第2位。これまでに、ハンブルク交響楽団、デュイスブルク交響楽団、BBCスコティッシュ交響楽団、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団、クレメラータ・バルティカ、NHK交響楽団など、数多くのオーケストラと共演。レパートリーは、バロックから現代作曲家の作品までと非常に幅広い。

 


LIVE INFORMATION
公演番号:121[A]
2017年5月4日(木・祝)10:00~10:45 Hall B7(パブロワ)
公演番号:155[B]
2017年5月4日(木・祝)17:15~18:00 Hall D7(ガデス)
公演番号:253[B]
2017年5月5日(金・祝)13:30~14:15 Hall D7(ガデス)

■曲目
[A]ショパン:マズルカ集から
[B]ショパン:マズルカ集から/ラヴェル:ソナチネ/ストラヴィンスキー:“兵士の物語”から王の行進曲、コラール、悪魔の踊り