INTERVIEW

早熟の知性派ピアニスト、ハオチェン・チャンが〈内面見つめた〉初のセッション音源&6月に行う来日公演のテーマを語る

ハオチェン・チャン『Haochen Zhang plays Schumann, Liszt, Janacek & Brahms』

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  • 2017.05.08
(C)Benjamin Ealovega

早熟の知性派ピアニストが初のセッション録音を発表!6月には注目の来日公演も!!

 2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで、辻井伸行と優勝を分け合ったハオチェン・チャン。中国出身の彼は17年6月に27歳になるが、これまでにロリン・マゼール指揮ミュンヘン・フィルをはじめとした国際的な指揮者やオケと数多く共演し、ソロや室内楽の分野でも旺盛に活躍中だ。そんなチャンが、年明けにスウェーデンの名門BISレーベルから初のセッション録音を発表。収録曲は、シューマン《子供の情景》、リストのバラード第2番、ヤナーチェクのソナタ、ブラームスの3つの間奏曲の4曲だ。技術を前面に押し出して弾く若手が多い中、彼は内省的で成熟した音楽を紡いでいるのが素晴らしい。

HAOCHEN ZHANG Haochen Zhang plays Schumann, Liszt, Janacek & Brahms BIS(2017)

 「この4曲はいずれも“自分を内向的に見つめ直した作品”。私自身、同じタイプなので、とても親近感があります。でも、4曲ともアプローチが異なるのが面白さであり、今回の選曲理由。自分の少年時代を振り返りながら“幻想”をシンプルに表現したシューマン。リストはそうした幻想をより高め、東欧的な荒々しい“薫り”を加えました。そんな薫りを、重々しく“悲劇的”な世界に織り上げたのがヤナーチェクのソナタ。そして、こうした悲劇を“解決”するのが、ブラームスの晩年の間奏曲だと思います」

 03年に初来日し、10年以降は毎年日本を訪れているチャンは、17年も6月に来日公演を開催。リサイタルは、8日の紀尾井ホールをはじめとした全国3公演を行う。

 「テーマは、“少年時代から戦争へと至る文学的旅路”。シューマンの2つの大曲を配置した前半は、幼く夢見みるような《子供の情景》と、ドイツ的な構成美の典型と言える《交響的練習曲》の対比をお楽しみください。後半は、リストの《超絶技巧練習曲集》~〈鬼火〉&〈雪あらし〉で始め、ヨーロッパからロシアへ東進。その後には、エキゾチックなヤナーチェク《霧の中で》を置いて、最後に弾くプロコフィエフのソナタ第7番《戦争ソナタ》の悲劇を予感させます」

 そしてもう1公演、14日には大阪で、井上道義指揮・大阪フィルとラフマニノフの協奏曲第3番も演奏する。

 「ラフマニノフの第3番は、折に触れて演奏している作品で、2週間前(インタヴュー時は16年10月)にも弾いたばかり。井上さん&大阪フィルとは、過去にベートーヴェンの協奏曲第5番《皇帝》でも共演しました。井上さんは、オケやソリストの志向や集中をひとつにまとめ上げる能力に大変長けた方。また、彼は私のような若手を温かく応援してくださるので、いつも本当に感謝しています」

 


LIVE INFO

ハオチェン・チャン ピアノ・リサイタル
○6/8(木) 18:30 開場/19:00 開演
会場:紀尾井ホール
曲目:シューマン:子どもの情景 op.15、交響的練習曲 op.13/リスト:超絶技巧練習曲集 S.139から第5番「鬼火」、第12番「雪あらし」/ヤナーチェク:霧の中で/プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 op.83「戦争ソナタ」
www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=592

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