INTERVIEW

〈ダイヤモンドダスト・ギター〉奏でるデンマーク発ヤコブ・ブロが最新作を語る「スペースは音楽を作る上でもっとも大切」

ヤコブ・ブロ『Streams』

写真提供/COTTON CLUB 撮影/山路ゆか

ダイヤモンドダストが舞うような、幻想的な美しさを奏でるギタリスト

 ヤコブ・ブロのギターのことを、 “ダイヤモンドダスト・ギター”と僕は勝手に呼んでいる。それほどこのデンマーク出身の俊英が生み出すメロディと音色は、氷晶が宙を舞い、浮遊しているような幻想的な美しさにあふれている。最新作『Streams』で、もっともそうした美しさを感じる曲は、2ヴァージョンある《Heroines》。曲名からすると、美しい女性たちの姿を思い浮かべながら作られた曲のように思えるが。

JAKOB BRO Streams ECM(2016)

 「この曲は、ニーナ・シモン、アリス・コルトレーン、ヴァージニア・ウルフ、マルグリット・デュラスといった女性ミュージシャンと作家に捧げている。曲名はあとから付けたんだけど、僕にとって彼女たちはミューズだ。2ヴァージョンあるのは、プロデューサーのマンフレート・アイヒャーがこの曲のメロディをすごく気に入ってくれたからで、彼の勧めでギター・ソロ・ヴァージョンも録音することになった」

 ヤコブは、いわば “space”を奏でるギタリスト。空間的かつ時間的な “間”は、彼の音楽の重要な要素だ。

 「スペースは、音楽を作る上でもっとも大切なものだと思っている。それは演奏のときに限ったことではなく、作曲する時も、最初の段階はシンプルなメロディだけによるスケッチ程度のもので、そのスケッチをなるべく余白を残しながら一枚の絵に仕上げていく。僕は、そんな感じで曲を作っている」

先日行ったトリオでの来日公演のトレイラー
 

 ヤコブは、エレクトロニカ系ミュージシャンとの共演盤も発表しているし、彼自身の音楽もジャズを超えてポスト・ロックと接点を持っている。彼は、元トーク・トークのマーク・モリスの大ファンだという。

 「『Mark Hollis』は、僕のフェイヴァリット・アルバム。スペースと静寂が両立していて、しかも音楽が浮遊している感じがするところに惹かれる。マークが音楽業界に復帰することを心から願っているよ」

 ヤコブが最初に手にした楽器は、トランペット。しかも父親がルイ・アームストロングを愛聴していたこともあって、ヤコブ自身も歌うように演奏することを心がけており、また、メロディを口ずさみながら曲を作る。こんな彼は、昔からニック・ドレイクのことも大好きだそうだが、将来シンガー・ソングライターとしてのアルバムを制作する意志はあるのだろうか。

 「現時点では僕の作詞のレベルは、作曲に比べると、はるかに劣るから、やらない方がいいと思う。テニス選手のジョン・マッケンローが引退後はミュージシャンを目指すと語った時、彼の奥さんが“あなたは偉大なテニス選手だけど、だからといって偉大なミュージシャンになれるとは思えない”と言って押しとどめたそうだけど、彼女は正しいと思うよ(笑)」

 


LIVE INFORMATION

Bro/Kazuma/Masaki LIVE
○5/12(金)19:30 開演 会場:フクモリ mAAch ecute 神田万世橋店 タナフクモリ(東京)
○5/13(土)19:00 開演 会場:HUMMOCK Cafe(姫路市)
○5/15(月)19:30 開演 会場:PROVO プロボ(北海道)
出演:ヤコブ・ブロ(EG) 藤本一馬(AG) 林正樹(p)

OPPOSITE 2017 DAY 4
○5/14(日)18:30 開演 会場:スーパー・デラックス(東京)
出演:ヤコブ・ブロ(EG・ソロ) セアン・ケアゴー & シモン・ステーン‐アンデルセン

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