車から身を乗り出し、晴天に向かって中指を突き上げるジョーイ。そして、その頭上をはためくのは赤・青・白という3色のバンダナを繋ぎ合わせて作られたアメリカ国旗。タイトルの中に並ぶ〈KKK〉の文字、それぞれ巨大な勢力をもつギャング集団を象徴する色である赤と青などの要素を考慮すると、自ずと彼のメッセージが見えてくる。トランプ政権誕生後直後に発表した楽曲“Land Of Free”では〈オバマが大統領になったけど、結果は十分だ〉とラップし、スクールボーイ・Qとの“Rockabye Baby”では力強く〈ファック・トランプ〉と叫ぶ。だが、ジョーイが強調したいのは現状に対する不満だけではない。“Devastated”は不遇の過去を振り返りながら未来への希望へと繋げて行き、“For My People”では〈この世に生き、ただ平和を望む皆へ〉とマイクを向ける。全編が、成熟した意見やポリティカルなリリックによって紡がれており、成長したジョーイの頼もしいアティテュード溢れる力作だ。