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イジー・ビズやジェイク・バグ、Suchmos、Nulbarichら今年の注目株

鳴田「では続いてラインナップについて伺いたいのですが、個人的には2014年ぐらいから〈邦楽勢強し〉な傾向になってきたなと思っていて。そのあたりはいかがですか?」

釜萢「洋楽勢は数的には増えてるんだけど、ひとまずステージの数が増えたから、おそらくほかのパイが、比率とすると薄まってるのかもね。昔はステージが2つしかなかったから。外のアーティストが4組ぐらい入ると、ヴォリューム的に海外風に見えていたというか」

鳴田「ああ、なるほど」

釜萢「いまはたぶん(洋楽勢が)10バンド近く出ているけど、比率として少なく見えるのかもしれない」

池谷「そういう意味で言うと、バランスは変えずにどんどん大きくなっていった感じなんですかね」

釜萢「うん。いつもレジェンド勢とアップカマー勢をどちらも盛り込むようにしていて。これまでもジミー・クリフ、ウェイラーズ、チャカ・カーンなどを追いつつ、今年で言えばイジー・ビズやジェイク・バグにあたる注目の若手もどんどん呼びたいと思っています」

イジー・ビズの2016年作『A Moment of Madness』収録曲“Circles”のライヴ映像
 
ジェイク・バグの2016年のパフォーマンス映像
 

鳴田「注目株ってところで言うと、Suchmos、cero、never young beach、Nulbarich、Yogee New Wavesと、今年はいま旬のアーティストが勢揃いしていますよね」

杉下「そうですね、ここまで人気の若手アーティストが集結するのは、ほかのフェスを見渡してもあまりないんじゃないかなと」

釜萢「彼らは茅ヶ崎とか横浜の匂いがプンプンするというか、音楽的にも出身地的にも、われわれにすごく近いところにいるんじゃないかなと思っていて」

〈GREENROOM '16〉でのSuchmosのステージの様子
 

鳴田「そういう人たちが、こうして人気が出てきたのは嬉しいことですよね」

釜萢「カッコイイしね、みんな」

鳴田「このあたりの人たちは音楽性も人間性もサイケというか、いろいろなものがカオスに混ざり合った印象があって。〈このスタイルじゃなきゃいけない〉みたいな整合性を考えないんだよなーって、いつも思ってます」

ceroの2016年のパフォーマンス映像
 

杉下「ステージ上で演奏していても絶対気持ちいいと思います。すぐ横に海が広がっていて、赤レンガがあって……というロケーションは、アーティストにとっても魅力的な景色なのかなと」

鳴田「うん、ほんと贅沢ですよね。杉下さんは〈GREENROOM〉のラインナップに関して、近年関わっているなかで変遷みたいなものは感じていますか」

杉下「そうですね、やっぱり10年目から一気に変わったイメージはすごくあります。そのタイミングでフェスの認知度も一気に広がって、逆オファーも増えましたし。あとはやっぱり若手がいま元気なので、その勢いも一緒に合わさって、いい感じになってる感じはありますね」

鳴田「そうですよね。2014年にはRIP SLYMEやTHE King ALL STARSとかが出ていて、そっちのサーフ系も出るんだ!と思いました(笑)。で、アーティスト本人も邦楽で固められたような一般的なフェスよりも楽しそうにパフォーマンスしていた印象があって」

釜萢「たしかに、RIP SLYMEはめちゃくちゃ盛り上げてたね(笑)。そういう意味ではジャンルレスになってきたのはここ5年だったかもしれないですね。大桟橋まではある程度一定のイメージのフェスだったというか」

池谷「以前はなんとなくのカルチャー、ジャンルが決まっていた。それはそれですごく楽しかったんですが、個人的に思い当たるのは大桟橋の1番最後の年(2009年)にスカパラが出てグッと動員が増えて。大桟橋全体が揺れちゃうぐらい……ひょうたん島みたいに離れちゃうんじゃないかみたいな(笑)」

一同「ハハハ(笑)」

大桟橋での〈GREENROOM '09〉の様子
 
〈GREENROOM '09〉での東京スカパラダイスオーケストラのステージ
 

池谷「ほんと、それぐらい揺れてた(笑)。でもそのときに、このフェスはもっとデカくなるんだなと思って。そこからどんどん、ジャンルレスなJ-Rockやルーツ・ミュージック的な要素、海外勢もそうだし、逆オファーが増える流れになっていったんじゃないかと思いますね」

鳴田「そこはある程度、意識的にやってきたことなのでしょうか?」

釜萢「具体的にはやっぱり……僕自身はサーフィンやスケートボードっていうところだけで来たので。そこからこの先ビーチ・カルチャーとかを広めるうえで、どうフェスを大きくしていくかと考えたときに、自分自身が聴いてる音楽ももっと幅広いし、もっとボーダレスな感じになろうとしたのがちょうど赤レンガに移るときだったので、大桟橋としてはあそこでフィナーレだったっていうか。会場をあのとき変えられたのも良かったですね。自分でもアクセルを踏むうえで、場所も全然デカくなっちゃうし(笑)、同じ作り方のままではいけないというのもわかってたので。でも、いま思うと繋がってるというか、結局ジャンルは違っても音楽は音楽だし、そういう意味ではお客さんの感じ方や楽しみ方というのは、そこまでジャンルに偏ってないといまは思ってるので。昔はそれでもすごく悩んだんですよね、このへんのバンド入れていいのかな?とか。このジャンルを入れていいのか、ブレてるとか、楽しめないとか、そういう声はやっぱりありましたね (笑)」

Yogee New Wavesの2016年のパフォーマンス映像
 

鳴田「〈GREENROOM〉変わっちゃったな、みたいな声が」

釜萢「でも、僕らは良い意味で進化していきたかったし。そういう意味では、いまはそこを取っ払えて良かったなと思っていますね。それでフェスが大きくなって、ステージが増えれば原点回帰的なステージもまたやれるだろうし、コンテンツもどんどん広がっていく。それこそ、昔やっていたようなサーフィンのコアなコンテンツも、実は毎年たくさん入ってたりもするんですよ」

鳴田「うんうん」

釜萢「やはりデカいステージを作れば大物のアーティストも呼べるようになるし、それが規模がどんどん大きくなる理由でもあるというか。これまでだったらジミー・クリフとかを迎え入れる受け皿が整っていなかった。それに彼みたいなビッグなミュージシャンは、ステージの上からオーディエンスに(フェス側の)メッセージを伝えてくれるんですよね。それが伝われば、お客さんはまた次の年も来てくれるので、あのまま同じサイズでいってたらいまはないというか」

池谷「チャカ・カーンも来なかったですよね」

一同「ハハハ(笑)」

鳴田「出演枠も多くなれば、必然的に若手を紹介する枠も多くなるし」

釜萢「そうですね。枠が増えると実験的なこともできるようになって、今年も冨田ラボさんの専用ステージを用意して、ゲスト・ヴォーカルを呼んでステージを作っていったり、いままでではできなかったことに対してアグレッシヴに踏み出せています。フェスならではのコンテンツというか、プロデューサーを含めて新しいフェスの在り方を作れたらおもしろいので」

鳴田「なるほど。ちなみに冨田ラボさんのステージでは冨田さんがホストになって、いろいろゲストが出るという感じですか」

釜萢「そうそう」

鳴田「藤原さくらさんや(ceroの)高城晶平さんなど、『SUPERFINE』の参加アーティストとのコラボもあったりするんでしょうか?」

釜萢「誰が出るかはシークレットですが、ゲスト・ヴォーカルは登場する予定です」

鳴田「それは最高ですね」

池谷「入場規制がかかっちゃいそうですね!」

冨田ラボの2016年作『SUPERFINE』収録曲、never young beachの安部勇磨をフィーチャーした“雪の街”
 

★後編に続く

 


LIVE INFORMATION
〈GREENROOM FESTIVAL '17〉

日時:2017年5月20日(土)、21日(日)
会場:横浜・赤レンガ地区野外特設会場
料金:2日券/19,000円、1日券/11,730円
出演:
〈1日目〉
マイケル・フランティ&スピアヘッド/ソジャ/ニュー・マスターサウンズ/レイ・バービー/Suchmos/Chara/大橋トリオ/The BONEZ/Rickie-G/bonobos/奇妙礼太郎/ハンバート ハンバート/勝手にしやがれ/NakamuraEmi/SANABAGUN./BRADIO/日食なつこ/Curly Giraffe/Leyona & 臼井ミトン/岩崎愛/THE HOTPANTZ/TOWA TEI/DJ HASEBE/高木完/K.U.D.O/川辺ヒロシ/Calm/リベラル/DJ YOGURT/DJ 仲山慶
〈2日目〉
トータス/ジェイク・バグ/イジー・ビズ/奥田民生/田島貴男(ORIGINAL LOVE)/Gotch & The Good New Times/Def Tech/cero/安藤裕子/YOUR SONG IS GOOD/Yogee New Waves/never young beach/平井大/藤原さくら/マイア・ヒラサワ/冨田ラボ/Nulbarich/Nao Yoshioka/jizue/Awesome City Club/CICADA/TOMOYUKI TANAKA/沖野修也/矢部直/ラファエル・セバーグ/DJ Mitsu the Beats/LEGENDオブ伝説a.k.a.サイプレス上野/ぴんとしてシャン!/Tsuyoshi Sato
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