COLUMN

プログレ名盤ジャケでおなじみ、イエス第6のメンバーと言われた画家ロジャー・ディーンが家族展を開催! 自然との共生を見る

ディーン・ファミリー〈アニマ・ムンディ~世界の魂~〉

Roger Dean/Myths/2016/180×120cm

 

イエス第6のメンバーと言われたロジャー・ディーン、ファミリー勢揃いの展覧会!

 1970年代より、イエスやエイジア、ユーライア・ヒープなど、数多くのプログレッシブ・ロックのアルバムでアートワークを手がけてきたことで知られる英国の画家ロジャー・ディーン。なかでもイエスの音楽性を如実に視覚化した幻想的なグラフィックイメージは世界的に高く評価され、一時はイエス第6のメンバーとも呼ばれたほどだった。

Amanda Dean/Waterborne Women Know How to Float/1997/180×120cm

 樹木や島々が浮かび、遥か霧の彼方へと続く桃源郷に翼竜や怪鳥が跋扈するその悠久の風景は、シュルレアリストの旗手マックス・エルンストの芸術を彷彿させる。透明感のある色彩と細密な筆づかいで描かれた自然界の描写には、森羅万象あらゆる生命がつながりあうアニミズム的世界観が色濃く満ちあふれている。それもそのはずで、ディーンは父親が英国軍のエンジニアであったため、キプロスや香港などを転々とする少年時代を過ごし、特に中国の風景と絵画はのちに彼の創作に大きな影響を与えたという。同時代のアーティストたちの多くが傾倒したサイケデリックカルチャーとディーンの作品世界が一線を画すのは、彼の美意識の中に知らず識らずのうちに東洋哲学のエッセンスが沈殿していたせいなのかもしれない。

 本人だけでなくディーン・ファミリーを招いた本展は、現在東京を活動拠点とする娘のフレイヤ・ディーン、妻アマンダ・ディーン、母ジェーン・ディーンとロジャー・ディーンによる4人展となる。自然の風景と東洋文化を愛する一家が選んだテーマは「アニマ・ムンディ ~世界の魂~」。これは道教からヒンドゥー教へ、 プラトンからスピノザへと至る、東洋と西洋の哲学史を通じて受け継がれる考え方で、「生命のひとつひとつが独自の魂を持ち、すべての生命がつながりを持つ世界のイデア、その全体を表現したい」という彼らの想いから選ばれたものだ。

Freyja Dean/England's Summer Barley Wreath/2017 27×25cm

 ロジャーは香港で育ち、アマンダは美術教育の一環で中国の水彩画を習い、さらにフレイヤは両親の影響から東洋文化に興味を持ち、2年前から東京に暮らしている。本展会場となるコートヤードHIROOの建物の一角には、彼女の小さな美しいアトリエと子どもたちのためのワークショップが設置され、そこで仕事をしながら、日本古来の神話や伝説とその自然観、それらが日本美術にもたらした影響を研究している。

 かつてシュルレアリストたちが理性や知識で解析できない不安の中で世界をカットアップしたように、ディーン一家の絵画へのアプローチは自然をめぐる芸術的警鐘ともいえる。自然環境に対してなされている不安定な危機的状況を踏まえた彼らの表現は、自然との深い信頼関係をあらためて示してくれるはずだ。

 


EXHIBITION INFO.

Dean Family Ehibition Anima mundi アニマ・ムンディ~世界の魂~
○4/8(土)~ 5/19(金)12:00~19:00
休館日:日曜日
会場:コートヤードHIROO 3F ガロウ
入場:無料
cy-hiroo.jp

関連アーティスト
美しい星