さて鬼才クルレンツィスがまたもやってくれた。伝説の〈フレンニコフの7人〉、アルチョーモフとは堂に入っている。旧ソ連から危険視された音楽は、その人物像さながらの圧力と実験的要素、そして地獄を見たものだからこそ書き上げられる清浄とが混在する。この道の交響曲第3番では古典的思想が入り組み更に複雑さを増したが、クルレンツィスにとってはその複雑さこそがむしろ楽しみだったのだろう。アタックの強い音の入りと、不協和音を敢えて際立たせる演奏で、曲の面白さ、そして美しい部分を浮き彫りにする手法をとっている。このまま道の交響曲4部作を録音してくれないものか。と、素直な感想。