アルカやワンオートリックス・ポイント・ネヴァーに続くエクスペリメンタルな才能として話題騒然のチーノ・アモービは、かつてダイアモンド・ブラック・ハーテッド・ボーイ名義でも活動してきたリッチモンド在住のクリエイター。自身の主宰するノンでは、リー・バノンの変名デデキント・カットの初作(チーノもDJシャドウと共に参加)などアフリカン・ルーツのアーティストたちによる実験精神の旺盛な作品を送り出しているが、表題がイーノの名シリーズを想起させる本作も同レーベルから昨年出ていたものだ(CD化に際してボートラも収録)。喧しいブザー音や銃声など物々しいノイズや重苦しいシンセに奇怪なサンプルやヴォイスが絡み、実験的な要素が強いのは確かだが、それ以上に、洒落たジャケを含め、どこかキャッチーというかポップな雰囲気に魅了される。15分以上に渡り、陶酔的なシンセ上で女性の〈zero〉という声が延々と繰り返される“Roma”(時折挿入される〈I miss you〉の言葉が不気味……)の中毒性ときたら!