3年ぶり7作目は、〈モテ男の彼が運命の女性を探す〉という自身初のリアリティー番組に連動したコンセプト・アルバム。ゲストは弟子のマイク・エンジェルのみにとどめ、後見人のトロイ・テイラーらの手掛けるアトモスフェリックで幻想的なトラック上で男女の機微を綴っていくという、ストーリー性や統一感のある作品になっている。そんな音像に乗せて切々と何を歌うかといえば、〈オレのNo.1ファンとセックスするから、あぁ、すげえ緊張してるんだ〉とのたまう“#1Fan”や、けもの(状態なセックス)フレンズとの情事をワイルドに描写するトラップR&B“Animal”など相変わらずな面はあるが、官能に身悶えるようなトレイなりの内省的ムードを伴った儚げなメロディーは、過去最高レヴェルの美しさ。なかでも終幕を飾る“Break From Love”は彼の新たな一面を垣間見られる荘厳なバラードだ。キャリア12年を経てもなおセックス・シンボルとしてブレない姿には、〈盤石〉の一言が相応しい。