『Everything Comes And Goes』やレッカーズとしてのリリースはあったものの、ソロでのフル・アルバムは14年ぶり。その間に結婚、出産、LAからナッシュヴィルへの移住、離婚を経験したアラサー女子が大復活だ。ヴァーヴに移籍して初となる本作では、制作中に恋仲へ発展したパトリック・カーニー(ブラック・キーズ)にプロデュースを委ね、ベックやノラ・ジョーンズ作品に関わるガス・セイファートらも召喚。過去の失恋を歌っても、前向きで躍動感に溢れているのは新たな恋のおかげか。溜め息混じりの歌声が妙に色っぽかったり、アンニュイな雰囲気が濃厚で、以前の清々しいイメージを描いていると戸惑ってしまうかも。パトリックらしいヒネくれたポップセンスやロックンロールな展開も満載。ブリブリしたベースが痛快だし、聴くたびに新たな発見があるはずだ。だからこそ、ボートラに収録された“Knock Yourself Out”のアコギ演奏によるシンプルなアプローチが、よりストレートに突き刺さる。