ジョン・ケージによって発明されたプリペアド・ピアノを用いてその表現方法の可能性を探求し続けているドイツの作曲家による3年ぶりの新作。今作で彼が新たに導入した方法は録音素材を使ったコンピューター制御による自動演奏=「自動ピアノ」による演奏。それにより生まれた、人間には演奏不可能な打弦音をプログラミングする事で、性急でありながら極めて重厚なピアノの響きをもたらしている。更にそこにノイズや電子音楽の意匠を凝らしており、今作の為に掲げたテーマの一つである「音楽という分野を越えた考察」を引き起こす事に一役買っている。もはや作家の野心すら感じ取れるような1枚。