いまや大沢伸一の名前がプロジェクト名よりも大きくなったことを思えば、過剰に意味を感じる必要はないのかもしれない。とはいえ、14年ぶりにこの名義を目の当たりにすると、ついに伝家の宝刀が抜かれたような眩しさを連想してしまう……という人も多いのではないか。今回は初めて全曲を日本語詞のヴォーカル曲で固め、簡素なループとメロディーのリフレインで神秘的な陶酔感を紡ぎ出す作風は、前作『NEXT WAVE』(2003年)までの流れとは当然異なるものだ。先行カット“ラビリンス”の満島ひかりをはじめ、UAや二神アンヌ、moumoonのYUKA、大和田慧、下重かおり、さらに乃木坂46の齋藤飛鳥、やくしまるえつこ、男声ではINO hidefumiとKick a Showの声が綴る幻想的な楽曲群は、読み終えたらすべての話が繋がっていた短編集のようでもあり、いわゆる〈豪華ゲスト大盛り盤〉とは真逆のアトモスフェリックな統一感がある。とりわけテンポの加減速を操る不思議なグルーヴでbirdと再会した“TIME”は素晴らしく圧倒的。傑作だ。