INTERVIEW

HER NAME IN BLOOD『FROM THE ASHES』 新ドラマー迎えたHNIB、今後のさらなる暴れっぷりを予感させる新EPを語る

写真/伊藤之一
 

 昨年末から活動停止を余儀なくされていたHER NAME IN BLOOD(以下HNIB)が、いよいよ再始動を迎えた。ライヴ活動再開から間もない4月下旬、本誌の取材に応じてくれたIKEPYとDAIKIの二人は、素直な喜びと現在の充実ぶりをこう語る。

 「活動できなくなってから4か月ぐらいあったんですけど、このバンドを始めてからそんなにも長い間ライヴをやらずにいたことがなかったから、改めて自分自身のなかでのバンドという存在の大きさ、こうして活動できることのありがたみを感じています」(DAIKI)。

 「これまでご迷惑とご心配をおかけしたぶんを取り戻すためにも、今の自分たちとしてみんなを楽しませたいし、新しいHNIBを作っていく局面なのかなと感じています」(IKEPY)。

HER NAME IN BLOOD FROM THE ASHES ワーナー(2017)

 リリースされたばかりのEP『FROM THE ASHES』は、当然ながらこの沈黙を経て作られていたものだ。新ドラマーに弱冠21歳のMAKIを迎えて制作されたこの作品に見られるのは、音楽的な方向転換や布陣変更による変化ではなく、改めて研ぎ澄まされたこのバンドの本質だ。無駄な音が一切なく、むしろ普遍的なメタルにいっそう接近しているようにも感じられる。

 「実際、今でもオーセンティックなメタルばかり聴いているし、そういう意味ではよりルーツに忠実なものと言えるのかも。今回はバンドの幅を見せるというよりは、今のHNIBをそのまま詰め込んだ感じですね。ただ、もっとリード・ギターで押していくような曲があってもいいんじゃないかというのは意識したかな。自分らの押し出したいものをより洗練させた結果、シンプルになった部分もあると思います」(DAIKI)。

 「シンプルでわかりやすい方向にはなったと思います。ヨーロッパ・ツアーをやりながら全員が感じていたことがあって。やっぱり常にいい環境で演奏できるわけでもなく、必要最小限の機材しか持たずに行ったんで〈この音じゃ、この曲の良さは伝わらないんじゃないか?〉と思わされたこともあった。そこで、どんな音でもライヴできっちり聴かせられるようなシンプルさを求めるようになっていたんじゃないかな」(IKEPY)。

 今作では全5曲中4曲でMAKIがドラムを演奏しているが、“Answer”のみJOY OPPOSITEのEIJIがプレイしており、彼の名も全曲に作曲者の一人としてクレジットされている。そのあたりの事情も説明してもらうことにしよう。

 「僕が曲を作ってくるケースが多いんですけど、それでもやっぱりドラマーの視点というのが必要じゃないですか。EIJIさんには『BAKEMONO』(2016年)のレコーディング当時からエンジニア的に関わってもらっていて、その流れもあって今回も手伝ってもらい、その曲だけ叩いてもらったんです。MAKIについては、知り合いから〈21歳のいいドラマーがいる〉という情報があって、ちょうど彼のいたバンドのライヴがあったんで観に行ってみたら本当に良かったんで、〈僕らはHNIBっていうバンドで、事情は知ってると思うんだけど〉と声を掛けたんです(笑)。HNIBのことも好きでいてくれたみたいで、〈マジすか!〉みたいな。それまでに何人かのドラマーと一緒に音を合わせてみたんだけど、いちばんバンドの音に合っていたのが彼だった。チャイナ・シンバルを裏拳みたいに叩く姿に惚れた、というのもあるんですけど(笑)」(DAIKI)。

 クリックや同期を使わないというMAKIのスタイルは、よりシンプルに研ぎ澄まされた楽曲、情感豊かに歌う傾向を強めているIKEPYの変化にも見事に合致している。今回のような一件がなければ、この時期に音源を制作する予定はなかったはずだが、結果的には『BAKEMONO』の一歩先にあるものを早々に新布陣で形にすることができたわけで、これがまさに新生HNIBにとっての新たな出発点となる。今後のさらなる暴れっぷりに期待したいものだ。

 


HER NAME IN BLOOD
IKEPY(ヴォーカル)、DAIKI(ギター)、TJ(ギター)、MAKOTO(ベース)、MAKI(ドラムス)から成る5人組バンド。これまでにEPとアルバムをそれぞれ3枚ずつ発表。2016年は4月にEP『Evolution From Apes』を、9月にフル・アルバム『BAKEMONO』を送り出し、10月よりそのリリース・ツアーを、11月からは8か国を巡る初のヨーロッパ・ツアーを開催。同年12月、当時のドラマーが不祥事により脱退し、バンドは活動自粛を発表する。2017年4月、新ドラマーとしてMAKIの加入がアナウンスされ、サーキット・イヴェント〈Zephyren presents A.V.E.S.T project vol.10〉よりライヴ活動を再開。このたびニューEP『FROM THE ASHES』(ワーナー)をリリースしたばかり。

関連アーティスト
pagetop