ジーザス・アンド・メリー・チェインやライドを筆頭に、〈いったいどうしちゃったんだよ!?〉ってくらいオリジナル・シューゲイザー世代の朗報が続いているなか、ここにまたひとつ。2014年にリユニオンし、今夏の〈フジロック〉参戦も決まっているスロウダイヴが、実に22年ぶりのニュー・アルバムを発表した。オープニングから〈キター!〉と歓喜の声が漏れること必至のトロットロに耽美なギターをお見舞いし、立て続けに〈コレだよ!〉と唸らされる男女混声をブッ込んできて胸アツ。さらに、前作『Pygmalion』の試みを発展させるべく、より濃密に現代音楽の要素を採り入れるなど、決して過去を懐かしむだけには終始していない点が頼もしい。そうしたバンドの現役感を引き出すのに大きく貢献しているのが、ビーチ・ハウス仕事で名高いヘバ・カドリー&クリス・コーディのコンビによるミキシング。分厚い轟音だけでなく、適度に余白のあるパートも挿むことで、とてもモダンな聴き心地だ。