COLUMN

ECM For Tomorrow

50枚のアルバムが切り取る、ECMの音楽

ECM For Tomorrow

 ECMは今年45年目を迎える。ドイツミュンヘンにスタートしたレコード会社が制作方針を変えることなく続いた事情はキース・ジャレットパット・メセニーの世界的な活躍に明らかだろう。45年の間に造り上げたカタログは膨大な数な上に、今でもその制作本数が下降する気配は微塵もなく、このレーベルのカタログの総体はもはやカフカの城のようだ。

【参考動画】キース・ジャレットによる84年の東京でのコンサート映像

 

 そういう意味では多くの人にECMは無数の入り口を用意しているはずだが、無数の扉から一つを選ぶひとつの理由は、細分化された無数の理由に紛れ込み、無数の扉は不条理にも侵入を阻むかのような印象を与えているのも事実だ。そこで、今回、50に厳選された入り口が用意されたというわけだ。

 マル・ウォルドロンニック・ベルチュまで、あるいはベートヴェンからアルヴォ・ペルトまでが、いま話題の高音質SHM規格に加え税抜き1600円でリリースされる。音質の向上は、往年のファンにとって買い直しのいい理由であるし、また最近、ECMから遠のいていたファンにしてみれば、低価格は気になっていたアルバムに手を延ばすよい口実である。

【参考動画】ニック・ベルチュのグループ〈ローニン〉による2006年のドイツでのライヴ映像

 

 今回の50枚は、業界のECM好きが選んだ。Intoxicateも選盤に参加したが、結果こうして並ぶといろんなyesterdayからtomorrowストーリーを捏造してみたくなる。たとえば、ダラー・ブランドのアフリカン・ピアノは、スティーブ・ライヒを経由してニック・ベルチュやクレイグ・テイボーンの音楽につながり、新しいアフロアメリカンミニマリズムの可能性を開くとか。アート・アンサンブル・オブ・シカゴマジックリアリズムは、メセニー=メイズのデュオを経由してテクノエレクトロニカの影響下の中で、新しいレスター・ボウイニルス・ペッター・モルヴェルの音楽、『クメール』へと変化したとか。捏造がブーム! とはいうのは顰蹙だが、それにしても一つとはいわず二、三枚購入して何かが時間を経て何かに変化したのではないかという自由な想像を楽しんでみるのは、45年から46年目にすでに動いているECMの歴史を楽しむひとつの方法だ。この50枚は、確かにカタログの音楽の距離をわかりやすく縮め、不条理の城を双六風に楽しむチャンスを与えてくれる。なんども振り出しにもどるのが常だし、そもそも上がりなんて想定外なのだし。

【参考音源】ニルス・ペッター・モルヴェルの98年作『Khmer』収録曲 “Khmer”

 


 

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