これこそ不滅の名盤という形容がふさわしい、クナッパーツブッシュ指揮による1962年バイロイト音楽祭での『パルジファル』が、ついにSACD化された。神聖のヴェールで幾重にも覆われたワーグナー最後の舞台作品。その神秘性が相対化された現在にあってなお、強力な磁力を保持し続けているのがこの1962年盤だ。縁のない深淵への旅にいざなう第1幕への前奏曲、グルネマンツが「ここでは時間が空間になるのだ」とパルジファルに開示し、クナが呪術的な音響空間を屹立させる場面転換の音楽! 音楽の点と点とが線で結ばれる時、聴き手に訪れるのはマジカルな至福の空間だ。さあディスクの覆いを取り厨子を開けよう!