COLUMN

ローレル・ヘイロー『Dust』 インディ/エクスペリメンタル界の才能が結集して生まれた最先端サウンド

  • Share on Tumblr
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2017.06.27
Photo by Phillip Aumann

インディ/エクスペリメンタル界の才能が結集して生まれた最先端サウンド

 Mari Matsutoyaが発起人となり2015年にスタートした、初音ミクにインスピレーションを受けたアート・プロジェクト〈Still Be Here〉。サウンド面を担当しているローレル・ヘイローは、参加メンバーと共に昨年インスタレーションを披露、2017年に入り《Until I Make U Smile》と《As You Wish》の2曲のPVも公開して話題を集めている。

 

LAUREL HALO Dust BEAT/Hyperdub(2017)

 その最中、ハイパーダブに復帰してリリースされる新作は、デビュー・アルバム以来となるヴォーカル作品となった。制作期間に2年を要したというから、前出のプロジェクトと並行して取り組んでいたことになる本作。様々な素材が複雑に絡み合って構築されるサウンドは、エクスペリメンタルな色合いをますます深めているが、先行公開された《Jelly》や日本語で歌われる《Moontalk》の持つメロディや重層的なヴォーカルにポップさが覗き、〈Still Be Here〉と相互に影響し合ったのではとないかとみられる変化が印象的だ。これは彼女自身の変化もあるだろうが、ジュリア・ホルター、シット&ダンのクレイグ・クロース、ジィーズのサム・ヒルマーといった面々が演奏面で、クラインやラファウンダ、マイケル・サルなどエクスペリメンタル・シーンで一目置かれる声の持ち主がヴォーカル・パートで多大に寄与している点も見逃せない。そしてアルバムの全編に参加した唯一のゲスト、というよりもコラボレーターといって差し支えないだろう、パーカッションを担当した打楽器奏者イーライ・ケスラーの活躍には目(耳)を瞠る。先述した《Jelly》や《Moontalk》では心躍るポジティヴなヴァイブを持ち込み、《Kinos》や《Who Won?》ではミステリアスな世界への扉を開く役割を担っていたりと、彼が刻むパーカッションやリズムが各楽曲の表情を細部まで豊なものにしているからだ。しかし何よりも個性ある総勢9名ものコラボレーター/ゲストを適材適所に配した彼女のタクト捌きこそ何よりも聴きどころかもしれない。