飄々とした登場時のイメージで漠然と捉えている向きからすれば老熟したように映るのかもしれない。とはいえ、逆にそれこそ若さの証明だと思えば何かが剥け落ちてリフレッシュされたようにも思える、メジャーでのサード・アルバム。センスと勘のいい若き才能ならではの、視野の広さゆえの苦悩のようなものは良くも悪くも前作『POSITIVE』(2015年)の〈元気さ〉を生み出す原動力だったと思うが、ここでの彼はさらに自己表現に深く向き合い、切実さをシンプルに剥き出しにしている。YouTubeで公開したデモの段階でもう素晴らしかった先行曲“SHOPPINGMALL”はトラップ&スクリューの形式で閉塞を表現する名曲でもあったが、アルバムでも耳を惹くのはやはり主役自身による歌唱/ラップだ。YOUNG JUJUやSugar meら客演陣の最小限のパフォーマンスもいい。〈やりたいこと〉以上に〈やっていきたいこと〉をハッキリ提示したような、衒いのなさが力強く伝わる力作で間違いなくターニングポイントとなる一枚だろう。