NY式のマフィオソ・ラップを確立し、ナズやビギー、ジェイZ、エミネムらのスタイル構築に絶大な影響を与えてきたジーニアスなジアンカーナが、ネクロとのタッグ作を挿んで6年ぶりのソロ・アルバムをドロップ。2007年の『Half A Klip』でも絡んだカナダのモスがここでは全曲をプロデュースしており、ここ数年のブーンバップ回帰にも照準を合わせた黒くて苦いジャジー&ファットなビートをたっぷり投入している。コーメガやフリーウェイ、ノリエガ、故ショーン・プライスら濃ゆい助演陣も首領の歌世界を男臭く演出。出てきた時から貫禄がありすぎたせいでアレだが、実際はATCQやデ・ラ・ソウルの連中と同世代でもあるわけで、今作の充実ぶりは無骨なカッコ良さの普遍性を証明するものでもあるはずだ。最高。